日本経済がデフレを脱却できない理由はいろいろあると思われる。たとえば日銀も、物価の低迷をもたらした主要因は消費の低迷により企業が価格の引き上げをためらうようになったことにあるとみている。消費低迷の原因は所得増加があまり期待できないこと、経済の見通しが明るくないことなどだ。ただ最近の日本のデフレの理由はいささか「独特」に過ぎる。
▽「独特」な理由その1:自動化レベルが向上したから
日本は労働力が不足している国だ。こうした状況の中、人件費は上がり続けるのが普通で、商品価格やサービス価格の上昇を直接もたらすのが自然だ。だが日本企業はさまざまな方法でコスト上昇を消化しようとしており、自動化レベルを絶えず上げるのが消化の方法の一つだ。
日本企業はこれまでもずっと自動化レベルが高かった。最近の調査によると、日本の中小企業はロボットやロボットに類する設備を購入するための投資を拡大し、自動化レベルを向上させている。経済産業省経済産業政策局の井上誠一郎調査課長は、「まさしく労働力不足だからこそ、日本企業の、とりわけ中小企業の効率向上のための資本支出の割合が日に日に上昇している」と指摘する。
自動化レベルが向上し、日本企業はロボットを活用して、これまで人力が必要だった仕事の大部分を処理できるようになった。これで人件費上昇によるコスト圧力を解消し、企業コストが急速に上昇しないよう保証することができる。こうして、企業は商品価格やサービス価格は大幅に引き上げる必要はなくなり、ある程度の売り上げが確保されるようになる。
これは企業にとってはよいことなのかもしれない。だがCPI上昇にとっては絶対によいことではない。このような状況はCPIの持続的低迷をもたらすのであり、自動化をデフレの理由にするのは「独特」過ぎるといえる。