デジタル経済がもたらす経済成長と社会の発展

デジタル経済がもたらす経済成長と社会の発展。

タグ:デジタル経済 経済成長 社会の発展

発信時間:2017-11-29 11:10:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る
文=西村友作 対外経済貿易大学 国際経済研究院副教授

   第4回世界インターネット大会が12月3日から5日にかけて浙江省烏鎮で開催される。中国のデジタル経済の発展が世界中の注目を集めている。


   中国経済は新常態(ニューノーマル)へと突入し、経済成長モデルは従来の製造業・投資主導型からサービス業・消費型へと大きく転換している。このような状況において、近年中国で急速に発展を遂げているデジタル経済は、中国経済の安定成長に大きく貢献している。

 

   供給サイドからみると、経済成長の原動力は「労働力供給の増加」、「資本ストックの増大」、「全要素生産性(技術水準)の向上」の3つの要素に分解できる。中国の生産年齢人口は2011年をピークに減少し始め、労働力供給の経済成長に対する寄与度はマイナスとなっている。また、中国人民銀行の周小川行長は、「2016年末における中国のレバレッジ比率(債務残高のGDP比)は247%で、中でも企業部門は165%となっており、国際的にみても高い水準にある」と指摘しており、これ以上の過度な投資拡大による資本ストックの大幅な増大も見込めない。このような中、中国経済が中高速成長を維持するためには生産性の向上が不可欠である。この意味において、技術水準の向上に資するデジタル経済の発展は、中国が推し進めている供給側改革の重要な成果の一つであると言える。

 

   需要サイドからみると、消費が経済成長の原動力となっている。中国国家統計局の統計によると、2007年には9.4兆元だった社会消費品小売総額は、2016年には3.6倍の33.2兆元に達し、GDP比も44.7%にまで高まった。中国のこの堅調な消費を支えているのがインターネット消費である。2016年における中国のインターネット消費額は、9年間で約100倍増加し5.16兆元に達した。Eコマースやスマホ決済といったデジタル経済が中国の消費を促進している証左である。

 

   デジタル経済分野における新興産業の発展は、経済成長を促すだけでなく、中国社会に山積していた様々な問題の解決にも寄与している。

 

   例えば、配車・ライドシェアサービスにより、雨の日などに大量発生していた「タクシー難民」問題や違法「白タク」問題も随分と解消している。シェア自転車の普及により駅前にはびこっていた違法輪タクが減ると同時に、自動車の排ガス削減効果による大気汚染の改善が期待されている。グルメ口コミ情報サービスやフードデリバリーなどの信用評価システムは、レストランの透明性を高め、食の安全問題の改善にも一役買っている。このような例は枚挙に暇が無い。

 

   世界的にみてもデジタル経済分野におけるイノベーションは緒に就いたばかりである。今後、中国のデジタル経済は更に進化し、中国経済の安定成長や社会問題の解決に貢献し続けていくであろう。




1  2  


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで