事実、中国の研究開発は目覚しいものがある。研究論文の数量だけでもこの事情を反映している。2017年5月、米国マイアミで行われた国際電気電子技術者協会(IEEE)電気装置と駆動装置に関連する国際会議において、論文審査委員であった千葉明教授は、中国から論文の数量に驚かされた。締切期限までに提出された約300篇の論文の内、中国の大学・企業からの論文が4割を占めた。
電気自動車モーターの論文の中でも、主要な部品コイルと磁石などに対して改良を行い、小型化・軽量化・高効率化を実現する成果が数多くあった。中国の最終的論文の数量は会議を主催した米国とほぼ同様となり、日本を大きく上回った。
現在のモーター技術の実力は、特許取得件数から見ると、トヨタ自動車などが優勢にある。しかし、立命館大学の佐伯靖雄教授は、「電気自動車が普及した段階で、自動車も日増しに日用品化し、中国に優秀な製品が誕生する可能性がある」と指摘する。日本みずほ銀行主任研究員の湯進氏も、「中国が実現しようとしているように、将来、中国は日本を追い越すであろう」と話す。