消滅していく物質的欲望に対して、大衆の経験や体験への重視が強まっている。
市場研究会社GfK社の調査によると、日本人の全ての年齢層の人が、「今ある物に比べて、ものの体験の方がさらに重要だ」と考える人の方がその反対意見の人よりはるかに多い。50歳以下の人々では、「暇な時間があることは、金があることより良いことだ」と考える人の方が圧倒的に多い。
こうした背景から、経験や体験を提供できるサービス業の人気が増している。例えば、職人の指導の下、結婚指輪を自ら作ったり、商店で食材を買うときも、その商店の主催する料理教室に参加したり、レストランで魚料理を食べるにも、先に釣りをして自分の釣り上げた魚を持ってきてコックさんに料理してもらうとかである。
このことは日本の消費者に限らず、日本を訪れる外国人の消費の好みもこうした変化が見られる。日本観光庁の発表した訪日外国人消費動向の調査結果によると、2016年第4四半期の訪日旅行客の中で、リピート客の比率は61.6%に達し、その中でも14.3%の人が来日経験が10回を超える。