エンゲル係数の大幅低下が何を意味するか

エンゲル係数の大幅低下が何を意味するか。

タグ:エンゲル係数

発信時間:2018-04-23 18:05:52 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

エンゲル係数の長所は簡潔さにあり、欠点もまた簡潔さにある。文化的・心理的な相違、都市と農村との二元構造、地域の発展のアンバランスさといった一連の複雑な影響要因があるため、1980年代以降、中国の学術界ではエンゲル係数を中国の状況に適しているかとの議論がなされるようになった。興味深いのは、食べることそのものだ。数年前に経済学者が挙げた例では、杭州市の若者は収入が増えるとよりグレードの高い食事をするようになり、エンゲル係数はかえって上昇した。広東省は経済発展レベルで全国トップクラスだが、エンゲル係数が高止まりしているのは、食べることを愛し、重視し、いろいろなものを味わえる環境にあるからだという。160年前の時代を生きた「食べることにそれほど詳しくない」ドイツの経済学者エンゲルスは、こうした文化的相違を計算に入れることができなかったと思われる。

よって中国の現実の中でこそ、エンゲル係数をより全面的に理解すべきだ。エンゲル係数の持続的低下は中国で農産品価格が長年低く抑えられていることと大きな関係がある。人々の「食費の割合低下」の背後には、食肉・卵・乳製品価格の相対的な安定があるが、これは回り回って農民にとってみれば、収入増加の相対的な難しさにつながる可能性がある。一連の貧困地域の家庭では、病気の時の医療費や子どもの教育費に多額の費用がかかる。報道によれば、「寧夏統計年鑑2017年」のデータに基づいて試算すると、16年の寧夏回族自治区の都市部のエンゲル係数はわずか24%、農村でも26.47%しかなく、この数字だけをみると「発展レベル」に達しているが、その背後には見えない貧困が隠れていることは明らかだ。よってエンゲル係数が30%を下回ることは、消費バージョンアップという未来の流れを意味すると同時に、不均衡で不十分な発展という現実も映し出しているといえる。

エンゲル係数の持続的な低下を前にして、中国の全体的発展の結果だと胸を張るのは当然のことだが、現実の複雑さは単純な経済の指数をしばしば超えるということも冷静に認識する必要がある。小康社会の全面的な完成の道のりでは、一人一人の達成感に照準を合わせることが、経済指数に注目するよりももっと国民の実感に近く、国民の実態を精確に反映することにつながるといえる。(編集KS)

「人民網日本語版」2018年4月23日


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