米国の中興通訊に対する制裁措置は、却って中国の「向こう10年で約1500億ドルを投じて、半導体チップの設計・製造分野で世界をリードする」計画の発表を導き、皮肉といえよう。米国企業の幹部や政府関係者らは、これまでに幾度となく「半導体分野における中国の野望は米国の利益を損なう恐れがある」と警告を発してきた。
中国の半導体チップ輸入額は足元で年間約2000億ドルに上るが、中国はこうした輸入への依存を減らそうと腐心している。世界的会計事務所PwC(プライスウォーターハウスクーパース)によると、世界市場で流通する半導体チップの59%を中国が買っている一方で、国内メーカーの世界市場における売上高は全体の16.2%にとどまっているという。さらに懸念されるのは、脆弱な半導体産業は国家安全保障を脅かす恐れがあるほか、技術の発展を妨げかねない点だ。