一方では、一連の多国籍企業と一般企業の供給チェーンはこうした理由で調整と再構築に直面し、一般消費者の暮らしにかかるコストが大幅に増加することになる。英オックスフォード経済研究所の推計では、中国の低価格商品が米国の消費の物価水準を1~1.5%引き下げているという。
また一方では、国際金融危機を脱してから間もないグローバル経済とグローバル貿易が、再び危険水域に追いやられることになる。世界貿易機関(WTO)が代表する多国間貿易体制は米国が第二次世界大戦後に呼びかけて成立したもので、ルールを基礎とした価値(バリュー)の方向性も米国が力強く推進したことだ。今や米国は契約の精神をないがしろにし、自国が主導して制定し、遵守することを承諾した国際ルールを完全に無視している。これはWTOにとって致命的な打撃だ。WTOのロベルト・アゼベド事務局長は警告を発し、「WTOがなければ、世界の貿易の60%が消滅し、世界経済は2.4%低下する」と述べた。
中国はこのたびの一国主義と多国間主義、保護主義と自由貿易との戦いに直面して、責任ある大国として後戻りはできない。鋭い対立があり、貿易戦争を始めた方に「痛み」を感じさせて初めて、「戦いによって戦いを終わらせる」ことができ、米国の行動が自由貿易や経済グローバル化にもたらす深刻な破壊的結末を回避することができる。
今回の経済の歴史の中で最大規模といえる貿易戦争は、中米両国にとって何を意味するのだろうか。