「われわれは今、貿易戦争が通貨戦争へと転換し、世界の貿易・通貨協力が広い範囲で崩れる真のリスクに直面している。先行きが危ぶまれる」。欧州連合(EU)や中国などが為替を操作しているとトランプ米大統領が批判したことについて、米ブルームバーグ社は22日、複数の為替アナリストの見方を伝え、そう警告した。
米国のムニューシン財務長官は同日、アルゼンチンでのG20財務相・中央銀行総裁会議の閉会後、「通貨戦争が起こることはない」として各国の懸念をなだめようとしながら、もう一方では、中国が「為替レートを操作していないか」判断するため、最近の元安傾向を注視していると語った。
トランプ政権の「変わり身の術」には世界ももう慣れっこになっている。EUは、米国との自由貿易協定(FTA)交渉をはっきりと拒否し、米国が鉄鋼・アルミニウムへの追加関税を撤回しなければ、米国製品に対する新たな追加関税リストを打ち出すとの方針を示している。
中国外交部の耿爽報道官は23日、中国側は通貨安の誘導で輸出を喚起する意図はなく、それは中国側の一貫した立場だとした。米国側が5000億ドル相当の中国製品に追加関税をかけると脅していることについては、中国は脅しを恐れないとし、米国側は冷静さを保ち、理性的な態度で関連問題を処理・解決すべきだと語った。
米国抜きの世界貿易体制
米国国内では、米国自らが引き起こした貿易戦争が多くの業界と企業に損害を与えていることがますます浮き彫りになりつつある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は23日、米半導体大手のクアルコムとオランダのNXPセミコンダクターズは25日に合併合意の期日を迎えるが、中国はこの440億ドルの取引をまだ認可していないと伝えた。クアルコムは、この合併は企業のモデル転換な重要なチャンスであり、徐々に減速するスマートフォンチップ業務を急速に成長する自動車チップ市場へと移すことを可能にすると見込んでいる。クアルコムは、中国での売上高が総売上の半分以上を占めている。報道によると、クアルコムは、中米貿易戦争で最も大きな被害を受ける企業の一つとなる可能性がある。