中国経済の「行穏致遠」の底力は、質の高い発展をめざして前進する姿勢にあるという点に変わりはない。各地方の発展状況からは、高度成長のみを追い求める姿勢は少なくなり、経済構造の最適化や質の向上をめざす姿勢が多くうかがえるようになった。
足元で第三次産業の生産額(付加価値ベース)の対GDP比は54.3%に、サービス業のGDP成長率に対する寄与率は60.5%に上るなど、経済成長を安定的に支える役割は一層増している。
ハイテク産業や設備製造業、戦略的新興産業なども力強く成長しており、こうした新たな原動力のGDP成長率に対する寄与率も30%は上回るなど、中国経済は質の高い発展をめざして速く着実に歩みを進めている。
中国経済の「行穏致遠」の底力は、靱性(レジリエンス)や潜在能力が高く融通がきくという特性にあるという点に変わりはない。中国の地域発展の余地は非常に大きく、京津冀(北京・天津・河北)地域の共同発展や長江経済ベルトの発展に加え、西部開発、東北振興、中部勃興、東部先行発展、人間本位の新型都市化や農村振興などを促進することは膨大な需要を育むものだ。
中国は14億近い人口と9億の労働人口、1億以上の市場主体(市場で取引活動に携わる企業や個人)、巨大市場を擁し、消費が高度化する潜在性を秘めており、これらが内需を支え、中国経済の成長を牽引する決定的な力となっている。国家統計局の推計によると、2008年~2017年の間の内需のGDP平均成長率に対する寄与率は105.7%に上った。