中米貿易摩擦の衝撃は受け止め可能
米商務省のデータによると、2017年の中国の対米輸出総量は5056億ドル、対米輸入総量は1304億ドル。推算によると、米国が中国に全面的な追加関税措置を取り、中国が現状を維持すれば、米国の対中輸出産品の関税は平均3%前後から25%へと高まり、中国のGDPの伸びを0.4ポイント引き下げることになる。また米国が中国に全面的な追加関税措置を取り、中国も米国に対して25%の報復関税を全面的に徴収すれば、中国のGDPの伸びを0.34ポイント引き下げることになる。
貿易戦争の直接的な影響のほか、経済全体にもたらされる相乗効果を考えると、短期的にはそうした相乗効果は限定的とみられる。企業の短期的な生産要素はほぼ確定しており、貿易戦争の影響は投資面には急速には伝わりにくい。このため短期的に見れば、貿易摩擦がもたらす衝撃は中国にとって耐えられるものと言える。
このように中米両国の経済・貿易関係は量的な調整を経ることはあっても、破壊的な変化がもたらされることはない。トランプ大統領を代表とする「伝統的な米国」は国際的な協力関係から次々と離脱しており、貿易のグローバル化の推進や気候変動への対処、グローバル・ガバナンスの改革などでは、中国の立場が世界のより多くの国の支持を受けるようになっている。中国は今回の中米貿易摩擦のマイナス影響に耐えることができる。
指摘しておくべきなのは、上述の分析は理性に基づく判断・推理であり、「ファンダメンタルズ分析」だということだ。極端な事象が起これば、実際の状況はファンダメンタルズから逸脱する。第1次大戦前、欧州各国の経済・貿易関係は深く融合し、エリート層は皆、戦争は無益だと考えていた。だが結局は、サラエボ事件がバルカン半島の火薬庫を爆発させることになった。歴史を鑑(かがみ)とし、理性的な分析と同時に互いの溝をコントロールし、挑発には冷静に対応し、戦略の定力を保つ必要がある。米国は複雑な一つのまとまりであり、米国人と付き合う際にはそれぞれの背景や意図を冷静に理解し、理性的な勢力を団結させ、極端な勢力に乗じる隙を与えないようにしなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年8月8日