『日本経済新聞』によると、中国のインターネット企業と家電企業が次々と半導体分野に進出している。百度は人工知能(AI)を用いた半導体開発を推進し、珠海格力電器はエアコン用半導体を自主開発している。米国とのハイテク分野における摩擦により、ハイテク機器に欠かせない半導体の確保に対し、中国企業で不安が高まっている。中国政府は「自力更生」方針を打ち出し、海外の技術への依存を減らすことを提唱し、中国企業も自主開発を加速化している。
中国の検索最大手の百度が開発したAI半導体「昆侖」は、クラウド端末が取得した音や画像などのビッグデータに基づいて学習し、音声識別や自動運転に活用される。
百度の会長兼CEOの李彦宏氏は、「中国の改革開放40年来の発展過程において、ハイエンドチップは輸入に頼っており、我々世代のIT人の永遠の悩みだった。AI時代に入れば状況は変わ」と話す。昆侖は韓国のサムスン電子の14ナノワイヤー技術を採用するというが、量産と出荷時期については明かしていない。
半導体商品はデータを記憶するメモリと演算などのデータ処理に使用する大規模集積回路(LSI)に分けられる。百度など中国のインターネット企業は特定用途向けのLSIを開発する。実際の生産は専門のOEM企業に委託する。
クラウドサービスの発展に力を入れるアリババグループの馬雲会長も、半導体分野への進出を宣言している。これを発表したのは、米商務省が4月中旬に米国企業と中興通訊(ZTE)の取引禁止を発表した後である。ZTEは一時、米国企業から半導体を調達できず、スマートフォンなどの商品の生産停止に追いやられた。
馬雲氏も、半導体チップ市場が米国にコントロールされており、米国が販売しなくなることを懸念している。アリババはAIチップの生産に強い米エヌビディア社などからヘッドハンティングし、アリババの研究開発部門などを母体に半導体の新会社「平頭哥半導体有限公司」を設立。
同社はAIを使ってビッグデータを解析する半導体を開発し、2019年からの出荷を計画している。まずはスマートシティのクラウド端末に搭載し、その後に自動運転や言語識別などに用途を拡張するという。