「エンジニアのボーナス」が拡大
天津サムスン通信が年末までの閉鎖を発表したが、天津市浜海新区の微信(WeChat)公式アカウント「浜海発布」が発表した情報によると、サムスンは天津での投資を拡大している。これは注意すべきことだ。世界最先端の動力バッテリー生産ライン、車載用MLCC工場などを建設し、24億ドル追加投資する。投資拡大と拡張の他に、サムスンがスマホ生産ラインを閉鎖し2大ハイエンド産業に転じたことは、中国における産業戦略の調整、製品モデルチェンジ・アップグレードの重要な一歩と見られている。
サムスンの中国戦略の「一進一退」が深く反映しているのは、中国の産業モデルチェンジ・アップグレードだ。
製造業の人件費高騰の裏側にあるのは、中国の「人口ボーナス」の減少だ。その一方で、「エンジニアのボーナス」の蓄積が、中国の産業モデルチェンジ・アップグレードを推進している。華創証券によると、中国は1999年より受験生募集拡大の時期に入り、中国の大卒者・院卒者の数は2004年の120万人・15万人ほどから2016年の400万人・56万人ほどに増加した。これを背景とし、中国中・大型ハイテク企業及び製造企業の研究開発費の年平均成長率は、過去10年間で24%に達した。
中国の若きエンジニアの給与水準は、まだ目に見えて増加していない。巨大な「エンジニアのボーナス」により、外資は労働集約型産業をベトナムなどにシフトさせると同時に、中国の新興産業への投資を拡大している。新エネ車を例とすると、今年に入りLG化学、SKイノベーション、パナソニックなどの日韓バッテリー大手が今年、中国で投資を拡大している。投資総額20億ドルのLG化学バッテリープロジェクトが10月23日、南京市で着工された。
有名経済学者の宋清輝氏は、中国証券報の記者に「中国の製造業は安い労働力という強みを失ったが、依然として一定の強みを握っている。例えば産業に従事する労働者の数が多く、監督管理制度が緩やかであることなどだ。ベトナムなどの低賃金の労働者と比べると、中国の労働者が生産性や技術の熟練度などで総合的に強いことが明らかだ。これにエンジニアのボーナスが加わり、中国の産業モデルチェンジ・アップグレードを促している」と話した。