「セメント工業の未来」をテーマにした第2回世界セメント会議がこのほど、ロンドンで開かれた。中国建材集団有限公司の宋志平会長はインタビューに応じ、「一帯一路」建設はセメント工業に新たなチャンスをもたらし、我々は他国の企業と沿線国家市場を共同開発し、分担し、互恵・ウィンウィンを実現すると話した。
エコ・スマート・アート 伝統工業が生まれ変わる
セメントは原材料の備蓄が豊富で、採掘しやすいため、世界の土木建築、水利、国防などのプロジェクトに広く使用されている基礎材料である。このように頻繁に目にする建築材料だが、多くの人が「高エネルギー消費・高汚染・冷たい色合い」というイメージを抱き、エコ・スマート・アートがセメント工場の新キーワードになることなど想像していない。
宋志平氏によると、セメント工業はエコ・省エネ方向に発展している。高エネルギー消費・環境負荷が大きいという従来の産業のスタイルを変えるため、セメント生産はエコ・スマート化のモデル転換を実現している。
中国建材集団は世界最大のセメントメーカーで、セメント生産量は世界一を誇り、世界の大型コンクリート設備市場の65%のシェアを占める。そのため、中国建材のセメント生産技術は世界を牽引している。
宋志平氏は、「以前は欧州企業から設備を導入し、経験を学んでいたが、現在は国外企業が中国企業の省エネのセメント生産を学ぶようになっている」と話す。
グローバルセメント・コンクリート協会は世界唯一のセメント業界とその他の利益関係者を代表する協会で、中国の急成長するセメント産業に後押しされ、宋志平氏は同協会の創始会長に当選した。
宋志平氏によると、現在のセメント生産は原材料の選択から生産技術、商品応用に至るまで全工程においてエコを優先基準としている。技術レベルを絶えず向上させることで粉塵・二酸化炭素・二酸化硫黄・窒素酸化物などの汚染物質の排出量を削減し、協同処置を通して生活ごみの処理過程における有毒ガスのダイオキシンの発生問題を解決した。また、太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギーを広く利用し、化石燃料の使用を減らした。
スマート設備の応用はセメント生産の労働力削減と商品の質の向上につながっただけでなく、エネルギー消費量も大幅に削減した。宋志平氏は、「コンピュータ操作する制御室を通し、生産ラインの従業員を200~300人から50人に減らし、精度を高め、温度管理もしやすくなった。スマート生産ラインを利用し、クリンカ1トンの煆焼につき石炭を20キロ減らし、2018年の中国建材のクリンカ生産量は2億8900万トンに達した」と述べた。
技術イノベーションはセメント生産に新たな生命力を注ぎ、発展を持続可能なものにし、技術開発はセメント企業のコア競争力になった。宋志平氏は、「私たちは26カ所のAクラス研究所、3万5000人の科学者、1万以上の特許を有する。30年前は欧州や日本から大型設備を調達していたが、現在は彼らが中国から設備を導入し、フランス南部に建設中のセメント工場は中国建材の傘下が建設している」と話した。
また、セメント工場の外観も人々のイメージを覆し、ガーデンスタイルの工場や森林、草原の中の工場などがあり、今後はアート化したセメント工場を建設し、工場を芸術品にするという。