3つ目は、延期はその他の国際スポーツ大会の日程にも影響する。来年夏、世界水泳選手権と世界陸上競技選手権大会が日本と米国で行われる予定。オリンピックの野球会場である横浜スタジアムでは来年夏にプロ野球リーグ戦も計画されている。米国陸上競技選手権大会組織委員会は、東京オリンピックに譲り、開催時期を調整することに同意した。
4つ目は、延期は選手村の運営にも困難をもたらす。選手村は東京湾の埋立地の晴海に建設され、日本の11社の不動産会社が21棟の宿泊施設をそれぞれ開発し、東京都は42億円でこれらを年末まで借りる。オリンピックとパラリンピックの閉幕後、デベロッパーは改装して市民に販売し、5600戸1万2000人の新住宅地になる。うち第1陣の893戸の住宅はすでに販売契約が結ばれた。契約に延期に関する免責条項が記載されているが、住宅引き渡しの延期はデベロッパーの作業を増やすだけでなく、購入者のローン契約も調整する必要がある。
5つ目は、オリンピック組織委員会が契約した1万人以上の警備員、12万人以上のボランティアも変更に直面する。オリンピック組織委員会はすでに研修を受けたボランティアを優先するとしているが、多くのボランティアが大学4年生であり、来年3月以降は卒業し就職しているため、ボランティア活動をする時間があるかどうかが問題となる。
6つ目は、観戦チケットはすでに550万枚販売された。横浜市のある職員は30万円で野球など4種目の観戦チケットを購入し、これらの消費者は延期後も有効なのかを最も心配している。販売契約によると、天災などの不可抗力の要因である場合、免責条項に基づいて払い戻しはできないが、東京オリンピック組織委員会の武藤事務総長は、購入者の権利を十分に考慮すると示した。
7つ目は、延期は日本経済に多くの損失をもたらす。延期後の競技場の調整、数千人の従業員の給料、事務所などの必要経費は約3000億円増える。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、オリンピックとパラリンピックを1年延期した場合の日本経済の損失は8408億円になると予想した。しかし、日本にとって延期は中止よりはましで、中止になれば、日本の経済損失は4兆5200億円に上る。