この春、上海新世界城は苦境にあえいでいた。「感染症の流行後、1日の光熱費が15万元かかるのに、1日の売上高は30万元あまりに落ち込んだことがある」。顧客対応総監の李蔚氏は大きな焦りを感じ、モデルチェンジによって自社を救う必要に迫られた。
対策グループをつくって配信者を選び、数十社のブランドと共同で老舗商業施設が「ライブ配信」を始めた。婦女節(国際女性デー)前後の38時間にわたり抖音(TikTok)でライブ配信イベントを行い、約10万人の視聴者を呼び込み、オンラインとオフラインの総売上高は前期比で14倍増加した。
感染症流行中の試みは李蔚氏に大きなインスピレーションを与えた。「もしかしたら、今後の主要な販売手法になるかもしれない。アクセスした視聴者が固定客になれば、売り上げにも結びつく」と話す。
中国国家統計局の統計によると、2020年第1四半期の社会消費財小売総額は前年同期比19%減少した一方、実物商品のオンライン小売額は5.9%増加した。オンラインがオフラインを補い、オンラインからオフラインに誘導することは、多くの事業者にとって自らを救う手立てとなっている。
感染症の流行で数千店が休業し、毎月の支出が1億元あまりに上るなか、紅蜻蜓の創業者である銭金波氏は一時、「徹夜して眠らなかった」という。
角に追い込まれたこの伝統ある製靴企業は、「スマホを手に取って」ビジネスを始めた。紅蜻蜓は2月8日、釘釘(Ding Talk)上に「防疫指揮部門」を設立し、それから1週間以内にオンラインオフィスを通じて代理店や加盟店と434回のテレビ会議を開き、「クラウド」上で商品販売を学びながら共同製造を実践。システムチックなデジタル組織力によって、紅蜻蜓は「逆風のなかを飛んだ」。9日間ほどで、1日の売上高が開始時のゼロから100万元を超えるに至った。
インタネットーのコストの低さは、デジタル経済の巨大なスケールメリットを支えている。オンランオフィス、リモートビデオ、スマート製造、クラウド販売といったデジタル化の力によって、モデルチェンジと難関克服を加速しているのが多くの業界と企業の現状だ。