中国人民銀行(中央銀行)が11日に発表した2020年4月の金融統計によると、4月末時点で広義マネーサプライ(M2)は前年同期比11.1%増の209兆3500億元で、伸び率は前月末と前年同期に比べそれぞれ1ポイント2.6ポイント上昇した。狭義マネーサプライ(M1)は5.5%増の57兆200億元で、伸び率は前月末と前年同期に比べそれぞれ0.5ポイント、2.6ポイント上昇している。
「主に企業向け融資の持続的な改善、企業預金の加速、財政政策の強化による財政預金の伸び鈍化が影響し、M2の前年同期に比べた伸び率が2017年1月以降では最も高い水準となった。M1の伸び率も比較的高く、企業などマクロ主体の活力が持続的に回復していることが示された」。東方金誠チーフマクロアナリストの王青氏はこう分析している。
交通銀行金融研究センター首席研究員の唐建偉氏は、M2の伸び率が高かったことについて、これまでに講じられた金融政策の反循環調節が作用を発揮し、感染症流行のショックから実体経済を早期に回復させる金融政策の効果が出始めていると指摘。また、金融統計は実体経済統計に先行することが多いため、M2の伸び率が上昇したことも、中国経済が第1四半期に反落した後、第2四半期から持続的な反発を開始する強固な基盤を示したとしている。
統計によると、4月の人民元建て新規貸出は前年同期比6818億元増の1兆7000億元で、市場予想を上回った。部門別で、住宅部門向け新規貸出は6669億元、うち短期貸出は2280億元、中長期貸出4389億元。企業(事業)向け貸出は9563億元、うち短期貸出は62億元、中長期貸出は5547億元、手形貸付は3910億元だった。また、非銀行業金融機関による新規貸出は404億元に上った。