▽月探査はせざるを得ない事業
中国の月探査プロジェクトで首席科学者を務める欧陽自遠・中国科学院(科学アカデミー)院士はこのほど、科学者たちによる「科学普及フォーラム」で、中国初の月探査衛星「嫦娥1号」を年内に打ち上げ、月周回軌道を周回せさる計画であることを明らかにした。2010年前後には、月面着陸と月面探査車による探査を行う予定だ。欧陽氏によると、月探査プロジェクトではすべての部品を自主開発し、外国製品は一切使用しない。
欧陽氏は「月探査には各国共に強い関心を抱いており、他国の技術援助を得ることは難しい」と指摘する。「科技日報」によると、月探査計画の第1段階には14億元の予算を要し、3年に分けて完成する。欧陽氏は「中国にとって、これは決して誇張しすぎた金額ではない」と言う。米国のアポロ計画は256億ドルを費やしたが、米国全体の科学技術と経済の発展をけん引した。欧陽氏は「実際、月探査はわれわれがしないわけにはいかない事業」と強調する。
現実の中で、われわれはなお、解決が必要な多くの経済・社会・環境問題を抱えている。地球上の事もまだうまくいっていないのに、それでも月を目指さなければならないのはなぜか。欧陽氏は人々の疑問に対し、「月探査は国家の総合的な国力の体現だからだ」と答える。「その上月探査は、われわれの国家にとって有人宇宙飛行に続く新たな一里塚であり、国家の科学技術発展の目安でもある。また、月の鉱物資源、エネルギー、特殊な環境は、将来人類が奪い合うことになる非常に重要な領域であり、もし中国がずっと手を出さずにいれば、将来何の発言権も持たないことになってしまう」――。
「人民網日本語版」2007年2月6日