中国華東地区の大部分が、近年もっとも深刻な電力危機に見舞われている。電力供給が需要に追いつかず、多くの工場や住民は電力使用を制限されている状態だ。また、河川の渇水に伴う水力発電量の減少は、電力不足をさらに深刻化させている。米AP通信が5月17日に伝えた。
中国当局は、石炭と石油の価格高騰により発電所が発電量を制限するのに伴い、今夏の電力使用がピークに達する数カ月、上海より西の工業地域の多くの工場で電力供給がさらにひっ迫化する可能性があるとする警告を出した。
夏季の降雨は最終的に干ばつを緩和するが、中国の成長は資源不足に制約され、長江の一部でも水位が低すぎることにより船が通れないという状況が発生している。電力供給不足は、まさにエネルギー価格上昇と農作物の凶作がインフレ懸念を高めている時に起きた。
中国電力企業聯合会は、今夏には3000万キロワットの電力が不足すると見ている。これは中国の総発電量の3%にすぎないが、電力不足は上海周辺の浙江省や江蘇省などの製造業の重点地区に集中する。また報告によると、石油化学工業とプラスチック製造業、小規模な工場は真っ先に影響を受けると見られている。
急成長する中国では長期にわたって周期的な電力不足が続き、極端な天気によりエアコン使用が増加する冬と夏は特に深刻な状況だ。しかし、今年の問題は、政府が抑制する電力価格が石炭と石油を利用した発電にかかるコストより低く、またこれらの資源を利用した発電は中国の発電量の4分の3を占めることだ。電力会社は新たなプロジェクトに投資する気はなく、そのうえ環境保護の目標を達成するため、多くの汚染が深刻な古い発電所を次々と閉鎖している。来年の新規導入される発電設備容量は今年より1000万キロワット少ないが、電力ニーズは引き続き2桁増となる見込み。
報道によると、華東電網有限会社は、夏には上海とその周辺4つの省で1900万キロワットの電力が不足すると予測する。長江沿岸の江蘇省では、最悪時で1100万キロワット、または総需要の16%の電力が不足すると予想されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月21日