中国で「駅弁」が市場に需要されるかの問題は、おそらく前者はそれほど難しい問題ではないでしょう。そもそも、中国には「お弁当」に近い、主食と副菜のくみあわせを持ち帰って食べる文化がありますし、実際に日本の「弁当」という単語で、「商務套餐(ビジネスランチセット)」が発売されていたりもしますから、もはや、中国市場に「お弁当」が模倣され始めているともいえます。難しいのは後者の問題です。日本での「お弁当」の「駅弁化」は特殊な時代的制約条件のもとに、たまたまできあがった「駅弁」ブランドというべきものです。いまの中国では、当時の日本ほど制約がないかもしれませんから、同じように展開しても難しいでしょう。ある中国の地域でヒットした「お弁当」はすぐに中国の別の場所に流通するか別の主体によって模倣されていくと思います。
ひとつの僕のアイディアとしては、これを擬似的に日本の「駅弁」のようなブランド化をするのであれば、全国的に、何かしらの「駅弁認証」をつくって展開するということがいいでしょうか。「駅弁」についてのノウハウを持っていそうな日本のNREなどの駅弁の大手企業と、中国の飲食大手企業が手を組んで、この展開をはじめたら面白そうですね。
はたして、中国で、各鉄道の駅ごとに「駅弁」が出てくることになってくれるのか・・・わずかな期待をもちつつ、それができそうな企業さんに頑張って欲しいところです。
今回は、「お盆」期間の日本で、鉄道で帰省旅のニュースをみましたので、中国での「駅弁」を考えてみました。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年8月16日