アフリカ諸国からみた日本と提携したほうが良いか、中国と提携したほうが良いか(マクロとしての産業振興政策に追随するミクロとしての企業行動において)相対的な重要度をザックリとチェックしてみますと、下記のようになるでしょう。
「1、進出したい市場需要・企業提携により増加できる輸出生産量」
中国との提携 >> 日本との提携
「2、企業提携により獲得できる技術ノウハウ」
中国との提携 < 日本との提携
「3、相手国の安全保障という動機からの国家政策支援(関税優遇等)」
中国との提携 > 日本との提携
「4、相手国内の民間企業の経済合理的動機からの好条件提示」
中国との提携 = 日本との提携
これらは、かなりの要素(二国以外の国々のバーゲニングパワー、国際協調的機関の存在、産業ごとの特殊性などなど)を省いて説明していますが、ここからの示唆としては、やはりアフリカ諸国としては、日本よりも中国との綿密な関係を築くことの方が、合理的に妥当であるわけです。上記「2」のウェイトが「<<」や「<<<」でないことが重要な決定要素となりますね。
こうした前提の上でみますと、日本が取るべき指針として別のものがみえてくるようになると思います。それは、アフリカ諸国との経済的連携に関して、日本は中国と並列的にライバル関係に立つのではなく、日本が有する技術ノウハウと中国が有する市場をともに連携させたものにすべきということです。
「日本とアフリカ諸国」、「中国とアフリカ諸国」という関係性では、上述のシナリオにおいて早晩に日本はゲームから外れることになりますから、そうではなくて、「日本、中国、アフリカ諸国」の3つの局が連携して国際競争力を産み出していくという構造をつくることが日本にとっては重要な鍵であると思います。中国とアフリカ諸国はどちらにせよ(日本が介在しなくても)メリットがあるわけですからよいのですが、致命的な存在意義の選択肢を迫られているのは中国でもアフリカ諸国でもなく、日本であるわけですね。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月8日