ある年のこと、年末になり「お屠蘇」の原料を日本から持ってくるのを忘れた時に、僕は非常に残念に思ったものでした。しかし、そのときふと「お屠蘇」の原料は薬草だと思い立ちました。その内容をさらに調べれば、もともと「漢方薬」であり、中国から日本に伝来したもののようです。インターネット百科事典Wikipediaによりますと
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屠蘇(とそ)とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑む薬酒である。「屠蘇」とは、「蘇」という悪鬼を屠(ほふ)るという意味である。数種の薬草を組み合わせた屠蘇散(とそさん)を日本酒に味醂や砂糖を加えたものに浸して作り、小・中・大の三種の盃を用いて飲む。昔から、「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」と言われ、伝統的な正月の祝いの膳には欠かせないものとなっている。・・・屠蘇散は・・・現在では山椒・細辛・防風・肉桂・乾薑・白朮・桔梗を用いるのが一般的である
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とのことです。その時僕は、「コレは中国で自作可能だ!」と思ったわけです。
しかしながら、さらに他の情報源なども調べたところ、いくつかの問題点がみつかりました。1)中国ではお屠蘇を飲む習慣は稀になっていること(屠蘇散という漢方セットが市場に流通していない)。2)日本での屠蘇散の漢方配合が不明確で、統一的でないこと。3)日本での漢方薬の名称と中国での名称が異なること(店頭販売での言語翻訳エラー)。などでした。そのため確実かつ網羅的な「屠蘇散漢方薬配合」は得られませんでしたが、それでもいくつかのお屠蘇の製造に欠かせない必須漢方薬をリストアップし、いざ中国での現地調達に出発することと相成りました!
先ずは漢方薬専門店に向かいましたが、あまりうまく少量を購入することができませんでした(お屠蘇を作るには必要のないくらい大量、が最少販売量)。それよりもむしろ、さすが中華料理といいますか、漢方≒スパイスとして食品のカテゴリーで扱うことが多いので、スーパーの食材コーナーで取り扱われているものが多くあり、またスーパーのほうが少量販売で購入しやすかったですね。そして、これらを自宅に持ち帰り、浸透性のある袋に入れ、みりんと共に日本酒に浸け込むこと24時間。ついに、お屠蘇が出来上がりました。メデタく「お正月を正しく迎えることができました!」
その漢方薬の一部と完成したお屠蘇