日本で年末から年始にかけて、ネット上での「炎上」、そしてその他メディアでも大きく話題になったのが、不良品(粗悪品)のおせち料理通信販売による事件、通称「スカスカおせち」事件、でした。
一応この事件の経緯を簡単に書きますと、グルーポンという新しいネット上の割引システムサービスがありまして、そのサービス上で通常価格2万円のおせちが1万円という格安価格で通信販売されるというものでした(グルーポン自体はネット上の仲介業者のようなもので今回の事件の直接的当事者ではありません。)。しかし、元日前には必ず宅配されていなければならないおせちが、大晦日になっても、ある地域では、元日、1月2日になってもまだ届かないというケースがあったとのことです。しかも、その中身が1万円の価値もないと多く酷評されるほどで、商品見本の写真と全く異なり、品数も少なく、重箱はスカスカで、衛生上にも問題がある(腐っていた・異臭がした)ものまであるということでした。結局、これを販売した会社の代表が辞任により責任をとるという一連の事件です(現在も関係各企業、消費者間で問題協議中です)。
日本人にとって、このおせち料理を元日に食べるというのは非常に意味のある伝統的な行事でありますから、この事件の当事者のみなさんは大変残念な思いをされたでしょう。
(あっそうそう余談ですが、僕の友人によれば北海道のほうでは、どうも大晦日の夜におせちを食べるという、伝統があるそうです。これはかなり不思議です!)
さて今回は、「スカスカおせち」の問題点を見てみましょう。例えば、1)フラッシュマーケティング(ネット上の即時的な多様な割引サービス等)というインターネットを利用した新手法に、消費者を保護する各種企業規制・法制度が対応出来ていない。2)企業代表者のカリスマ性を巧みに利用したマーケティングに対して消費者知性が対応出来ていない。3)企業倫理観の欠如に対する社会からの事後的ペナルティーを企業が計算できない。などが考えられると思います。
「1」については、法制度の問題です。
価格表示に関する法整備はあるものの、新しい時代のシステムに対して「抜け」があるといえるでしょう。これは例えば、インターネットの即時性であったり、またメディアをコントロールしている業者(広告代理店など)に委託することなく、自由に情報発信を「誰でも、どの企業でも」自らが主体となって行えてしまうために他者によるチェック機能が働かず、発生する問題であります。実際にこれらの判例がでてきて制度的に整ってくれば、次第に減少していく問題と言えますね。
「2」については、消費者(市場)の問題です。