スカスカ餃子
―ネット通販・新メディア商法の落とし穴について

スカスカ餃子
―ネット通販・新メディア商法の落とし穴について。 日本で年末から年始にかけて、ネット上での「炎上」、そしてその他メディアでも大きく話題になったのが、不良品(粗悪品)のおせち料理通信販売による事件、通称「スカスカおせち」事件、でした…

タグ: 餃子 ネット通販 新メディア 落とし穴

発信時間: 2011-01-13 11:42:04 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

「3」については、企業の問題です。

企業からすれば、上述の法的な「抜け穴」(=脱法行為)や、消費者市場との情報非対称性を巧みに利用して営利活動をおこなうことは、むしろ「善」であるので、単に伝統的な観点に基づいた企業側の立場としては「スカスカおせち」は「何も悪くない!」といえることかもしれません。しかし現代はそうは単純に企業が行動することはないということは、みなさんもご承知の通りと思います。現代の企業は、多様なステークホルダーの中にあるため・・・、CSRだから・・・といった、「営利行動だけではいけないんだよ!」という様な論拠がありますね。

ただし、僕がここで主張している「3」としての企業の問題とは、「スカスカおせち」を販売した企業が単に多様なステークホルダー云々の社会性を軽視した(当初から軽視しようとした)企業だったという事ではありません。こうした消極的な理由よりも、企業自体が合理的な計算ができていなかった可能性があるということです。つまり、ある製品やサービスを市場に提供する企業として、その専門家としての歴史的な蓄積がないにもかかわらず、インターネット(または通販)というメディアにより自身が提供できる量や質を超えて需要(注文)を突発的に受けてしまうということが往々にして起こるのでしょう。そして、これを「受けてしまうこと」のペナルティーを当該企業が理解していないということが、僕の主張です。

どういった製品やサービスの提供プロセス、コストが必要がという計算ができない、にもかかわらず、キャパシティーを超えてビジネスチャンスを追ってしまう状況です。当該企業としては、プラスとマイナスを計算(かけられるコストと消費者の100%ではないが妥当な満足のバランス)をしたつもりでも、それが誤っており、それ以上のマイナスの結末が訪れてしまうということになります。

おそらくこれは、インターネットを利用したビジネスでなく、旧来的なビジネスであれば、自身の企業規模に適した宣伝方法を「利用せざるを得なかった」でしょうし、自身の企業規模に適した量の「受注しかできなかった」と思います。それが、自身の企業規模から適正な数や質を超えた注文を「うけることができてしまう」状況になり、これが、むしろその製品サービス提供キャパシティーや財務状況や、法制度への準拠性やそういったものへの企業対応能力を超えてしまっているために、自身を苦しめることになることが、企業自身が「計算できない」状況なわけです。

ですから、企業が「伝統的な純営利主義である!」や「社会性を軽視している!」から事件が発生する、という論拠よりも、企業には妥当な範囲で社会貢献と利潤追求を両立させようという意思があるにもかかわらず、企業の製品サービス提供キャパシティーを超えた需要に「思いがけず」直面してしまう、そしてそれをすでに自らが組織体として、事後の法律的ペナルティー、事後の風評ペナルティーも計算できずに、妥当なラインを超えて悪質な商行為を選択してしまう、つまり自らは「取り消すことが不可能なほどに、ビジネスが成功していると思い込んだ状態になっている」ということが問題なのだと、僕はここで主張します。

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