以上が僕の実際の経験でありましたが、こうした一連の作業が「お正月」に関わる準備であって、そしてその作業自体が「お正月」という日本の伝統を体験していることにほかなりません。海外と関われば関わるほど、母国への意識そして、母国の伝統というものを改めて意義深く感じ、自らの立場を再認識する良い機会となるなぁと思います。
また同時に、「お正月」のお屠蘇自作プロセスは、中国という国から日本へと文化が輸入されたこと、そしてそれが日本の伝統として根付き、もはやオリジナルの中国ではその伝統は無くなってきていること、などの長い二国間の関係性の歴史を追体験するものでありました(経営学で言えばCross-border Knowledge diffusionや陳腐化の問題かもしれません。)。
企業や経営、ミクロ分析などを行うときに、重要な力点は、客観性から外れた「何らかの要素」を発見することであったりします。この解明されていない何かを見出そうと研究するときに、こうした、「生活体験」からくる「感覚」というものが、とても役に立つこと、そしてそれが閃きにつながることが大いにあります。新たな発見は、膨大な知識と正しい分析をもとにした、あと一歩の「閃き」にかかっているといえます。「閃き」のために「感覚」を研ぎ澄ませる。「感覚」のためには大いに「遊ぶ」ことが重要なことと思います。
こちらのブログでは、企業行動や国際政治など「扱うテーマ」が難しい言葉で表現されることが多いわけですが、そこに「遊び」や「生活体験」からの彩りもわすれずに盛り込み、それがブログ読者のみなさんにとってビジネスでも、その他分野でも、何か「面白いアイディアの種」≒「閃き」になるようになればな、と思います。どうぞ本年もよろしくお願い致します!
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月6日