まだまだ震災の傷跡は深いです。最も深刻な被害をうけた地域はもちろんのこと、福島原子力発電所問題解決までの成り行きは気になるところですね、これは今もまさに首都圏にも放射性物質被害によって市民の生活をおびやかしています。また、これによって日本の食品安全神話がくずれたように、海外諸国も日本原産食品輸入の検査・規制を強化してきています。
産業に目を向けますと、計画停電の影響が大きく、多くの日本を代表する大手メーカーの工場も正常稼働できていないところも多いです。実際にトヨタなども部品製造が滞る箇所があり、一連の部品をつくるところから、最後の自動車組み立てまでの「流れ作業」が中断してしまっているので、結局、すべての生産工程でストップをかけなければならないという自体に陥っています(世界で販売できる車両数も減少します。)。こうした、日本のメーカーの良い特徴でもあった在庫を抱えないメリットを持つ「トヨタ的流れ作業」が却って仇となって、今回の震災の影響で、ひとつの工程がストップするだけでもすべての製造工程をストップさせなければならないということになってしまいました。他の日本を代表する各メーカーも同じような被害を受けているところは多いと聞きます。
さて、ここでふと考えた方も多いかと思いますが、僕も「これは今後、企業の海外展開の流れが変わるだろうな」と思っています。
今回の震災によって実害をうけたメーカーは、一般的に海外生産の割合を増やすようになると言われますね。この主張の根拠は、今後の電力不足も考慮して、海外の各地域での生産を増やすことでそうした生産停滞のリスクを回避することができるからです。少なくとも、一カ国で生産(販売)しているよりは、数カ国で生産(販売)していたほうが、自然災害だけでなく、政治リスクや、為替リスク、そして多国籍化企業内部品調達コスト調整による節税目的など、など多くの面でメリットがあることは明らかです。これらは、新しい主張ではなくこれまでも言われてきたことだったと思います。