「翻訳界のオリンピック」が上海で開かれる意味

人民中国  |  2008-07-17

「翻訳界のオリンピック」が上海で開かれる意味。国際翻訳家連盟副主席、中国翻訳協会副主席兼秘書長・黄友義氏インタビュー。――中国翻訳協会副主席兼秘書長として、中国の翻訳事業の現状をどのように考えていますか。次の2つのことから、中国の翻訳事業は現在、新しい発展の段階にあると言えます。1つは、グローバリゼーションにともない、各分野、各専門の中国語と外国語間の相互翻訳の需要がかつてないほどに増えているということ…

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発信時間:2008-07-17 15:03:56 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

国際翻訳家連盟副主席、中国翻訳協会副主席兼秘書長・黄友義氏インタビュー

黄友義氏プロフィール 1975年、北京外国語学院(現在の北京外国語大学)英語学部卒業後、中国外文局に入り、外文出版社に勤務。翻訳の仕事に携わった後、中国翻訳協会副主席兼秘書長に。現在は外文局副局長も務める。

――中国翻訳協会副主席兼秘書長として、中国の翻訳事業の現状をどのように考えていますか。

次の2つのことから、中国の翻訳事業は現在、新しい発展の段階にあると言えます。1つは、グローバリゼーションにともない、各分野、各専門の中国語と外国語間の相互翻訳の需要がかつてないほどに増えているということ。もう1つは、各部(日本の省にあたる)と委員会、省・自治区・直轄市などが外資の誘致を積極的に推進しているため、翻訳の需要が高くなっているということです。

中国の翻訳事業は「改革・開放」およびグローバリゼーションによって新しいチャンスを迎えましたが、それと同時に困難にも直面しています。中国は多くの精力と時間を費やして外国語の人材を育成しました。しかし、翻訳者を育成したわけではありません。長い間、中国国内および国際社会には、外国語の人材育成イコール翻訳者の育成、という誤解が存在しているのです。

――他の国や地域はそういった問題をどのように解決しているのですか。

スウェーデン、オーストラリア、香港などの国や地域の有識者たちは、1960年代にはすでに、単に外国語を勉強しただけでは翻訳の基礎しか学べないということに気がつきました。そこで、大学に翻訳の専門課程を開設しました。また、翻訳の資格認定システムも作りました。

――中国の翻訳界はどのように解決していますか。

中国の翻訳界もこの問題を意識するようになり、1996年、中国翻訳協会は国内の大学に翻訳専門課程を設置するよう中央政府に提案しました。しかし残念なことに、当時は条件が整いませんでした。また、外国語を学んだ人なら誰でも翻訳ができるはずだという考えもありました。

2003年、人事部は社会の需要に応じて『翻訳専業資格(水平)考試暫定規定』を制定しました。翻訳専門の資格試験制度が始まったのです。現在は、2級、3級の通訳・翻訳試験が行われています。

06年、教育部は15の大学に翻訳課程を設置しました。しっかりとした外国語の基礎を勉強したうえで多文化交流の方法や世界の文化・知識、翻訳、通訳などの技巧と方法を学ぶのです。

――国際翻訳家連盟とはどのような機関ですか。

国際翻訳家連盟は1953年、ユネスコの主導のもと、フランスで設立されました。現在は120の翻訳協会が加盟しています。その多くはヨーロッパ諸国の協会で、アジアでは日本、韓国、香港、インドネシア、中国などの国や地域の協会が会員となっています。

ヨーロッパは翻訳事業が非常に発展しています。これまで17回行われている世界翻訳大会は、オーストラリアで1回、北アメリカで2、3回開かれたほかはすべてヨーロッパで開催されています。

国際翻訳家連盟はヨーロッパ各国の翻訳協会を結束させて、まずは、翻訳者の合法的権利を保護するために多くの仕事をしています。たとえば、ノルウェーでは図書館で閲覧されている著作物について、著者と翻訳者は同等の印税を得ることができるようになりました。このことは翻訳者の意欲を大いに高めました。

次に、翻訳業には統一の基準が必要です。たとえば、翻訳料の基準、資格の評価基準などです。国際翻訳家連盟はこれらの基準を統一するためにも力を尽くしています。

3つ目に、翻訳というのは危険をともなう職業でもあります。もし戦争が起こったら、戦場には翻訳者が必要です。しかし翻訳者が戦場で犠牲になっても功績や保障は何も与えられません。そこで、国際翻訳家連盟は国際ジャーナリスト連盟のように、翻訳者に対して「国際翻訳者証」を発行することを考えています。このように、翻訳はその仕事に相応の賠償が支払われ、仕事の正当性と個人の尊厳を保障されなければならないのです。

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