日本は12月末(27日頃)から1月初め(4日頃)までがお休みとなります。この休みは、一年で一番重要な休みと言えます。(中国の春雪(旧正月)に相当します。)休みとして、まとまった日数を休むという点でも重要ですが、年のかわるということは、新しい年に期待をし、気持ちを入れ替えるという点で重要です。この年末年始には、日本では本当にいろいろな習慣がたくさんあります。何回かにわけてご紹介しますが、今回は、主に年末の習慣をご紹介します。
日本では年末までは一年の仕事を仕上げたり、大掃除をしたり、買い物をして、お正月を迎える準備をするために忙しく過ごします。
本年は、12月27日くらいから休みに入ったオフィスが多いようです。しかし、デパート、スーパーなどは、客がたくさん来るので12月31日まで開店していましたし、銀行も12月31日まで働いていました。
12月31日深夜から1月1日零時をまたいで、深夜、「除夜の鐘」を鳴らしますが、それが聞こえてくると、一年ももう終わりだな、と感じさせます。(「除夜の鐘」詳細は後述。)
1月1日になれば、お店も閉店するところが多く、静かな日を迎えます。日本では爆竹をならす習慣もありませんので、中国の春雪に比べてなおさら静かな感じがします。
日本の年末の習慣としては、以下があります。調査会社マクロミルが11月下旬に日本全国の成人男女を対象に、インターネットで調査したところ、有効回答数1030のうち、それぞれの行事を行うと回答した人数を記述します。(12月6日付日本経済新聞報道。)
(1) 年越しそばを食べる・・・810
(2) 大掃除をする・・・732
(3) 「お歳暮」を贈る・・・423
(4) おせち料理を作る・・・400
(5) しめかざりをする・・・385
(6) クリスマスツリーを飾る・・・336
(7) クリスマスプレゼントを贈る・・・313
(8) 冬至にゆず湯に入る・・・267
(9) 帰省をする・・・263
(インターネットを通じての調査なので、インターネットを使わないような人は調査対象に入っていません。つまり、この結果がそのまま日本人全体の平均とみなすとは言えません。それでもある程度は参考になると言えます。)
(3)の「お歳暮」というのは、日頃お世話になっている職場の上司、仕事の関係者、親戚などに贈るものです。「もともとは年の暮れになって年神様や祖先の霊に、米、餅、魚などを供える供物を家族で持ち寄ったことに始まります。それが、正月を前にして仕事などで帰省できない子どもや、遠方の親戚たちが、祖先の霊を守る本家の祭壇などに供えてもらうため、供物を贈るようになり、それとともに親たちの長寿も願ったのが、お歳暮という習慣に変わっていきました。」(飯倉晴武氏編著『日本人のしきたり』青春新書より)
家のドアに飾ったしめ飾り
(5)の「しめ飾り」は新しい年の神様(「年神様」)をお迎えするために飾るものです。自分の家が神聖な場所であることを示すために飾ります。玄関口や家の神棚に飾ります。自動車に飾る人もいます。私の家でも、小さなしめ飾りを買って、玄関の戸に飾りました。「福」という漢字が書いてあるものを買いましたが、このような字が無いしめ飾りも沢山あります。日本では「福」という字を逆さまに倒して飾る習慣はないので、この点は中国とは異なります。
(9)の「帰省をする」は地方出身の人が大都会(東京、大阪など)で働いていますが、年末年始の休みを利用して、ふるさとに帰ります。このため、列車、飛行機、道路が混雑することになります。
お餅売場
多くの人が正月に食べる食品や飾りなどを買いに行きます。たとえば、お正月にはお餅や「おせち料理」を食べる習慣がありますので、スーパーマーケットでは売られています。またお正月にお花を飾る人が多いので、お花も様々なものを売っています。
12月31日は「大晦日(おおみそか)」という日です。この日の習慣は、以下のようなものがあります。
●上のリストにも、(1)年越しそばが挙げられています。私も年越しそばを食べました。その由来について、国立歴史民俗博物館の新谷尚紀教授は、「江戸時代の商家で、細く長い寿命を願う縁起物として始まった。全国的な習慣になったのは、1960年代以降で、テレビなどを通じて広まった。」と説明されています(12月6日付日本経済新聞)。
●上のリストには含まれていませんが、12月31日には、NHKで『紅白歌合戦』という歌番組が放送され、見る人が多いようです。(夜7時20分から11時45分まで放送されました。)
除夜の鐘をつく人たち(川崎市にある総持寺で)
●お寺では12月31日の深夜から午前零時をまたぐように、「除夜の鐘」をつきます。これは108回、鐘を鳴らすものです。由来は中国で宋の時代から始まったとされ、12月と24節気と72侯を合わせた数が108になるからと言われています。別の説では、仏教で、108の煩悩があり、それをうち払い、罪業の消滅を祈るためのという説があります。(飯倉晴武氏編著『日本人のしきたり』より)
12月31日の夜から1月1日朝にかけては、お寺や神社にお参りをしたり、「初日の出」を見に行く人が多いので、電車も夜は普段より遅くまで運行され、また朝も早くから運行されています。路線によっては、一晩中、運行されている電車もあります。
(井出敬二 前在中国日本大使館広報文化センター所長)
「チャイナネット」2008年12月26日