水木しげる記念館
日本と中国の漫画、アニメの違いとしては以下が指摘できるでしょう。
(1) ともかく日本では漫画の出版点数がものすごく多いのです。アマチュアの人が趣味で出している漫画同人誌もたくさんあります。その中から人気のある作品が淘汰されて選ばれてきます。
(2) 日本では、漫画、アニメは子供だけでなく大人も対象としています。従って、仕事に関するもの、悪人を描くもの、怪奇的なもの、暗い未来を暗示するものなども少なからずあります。「勧善懲悪」だけではないわけです。
(3) 原作が漫画でそれがアニメ化(テレビ、映画)される場合が多いのですが、アニメではないドラマ・劇映画化(俳優が演じる実写のもの)されることもあります。
(4) 日中の生徒・学生生活の違いの一つには、放課後、スポーツ活動やクラブ活動に多くの時間を日本の生徒・学生が割いていることがあります。そこでは、努力や友情の尊さを学び、いろいろな感動があります。そのため子供・青少年のスポーツ活動やクラブ活動を描く漫画・アニメは日本では強い支持を受けています。
(5) 仕事に関する漫画・アニメを見ると、いかに日本人が職業に真剣に打ち込んでいるかがわかります。日本人は仕事を描きながら人生の様々なことを考えさせる漫画・アニメが好きです。中国人は、日本人が非常にまじめに仕事に打ち込む姿によく感心してくれますが、漫画・アニメを通じてもその姿を見ることができるでしょう。
(6) 日本では、歴史ものをただ漫画・アニメにしてもあまり人気が出ないと言えると思います。かなり原作を発展させ、新しい着想や視点をいれるなどして、面白くしないと受け入れられないようです。
最近、日本では多くの漫画、アニメの美術館、博物館がオープンしています。是非中国の皆さんも日本を訪問される機会があれば、ご訪問いただきたいと思います。私もいくつかを訪問しましたが、日本の漫画家がどのような生い立ちを経て育ってきたか、そしてどのような強烈なメッセージ、考え、感情をもって仕事に打ち込んでいるか、といったことを知ることができます。
付録:
● 京都国際マンガミュージアム http://www.kyotomm.jp/
● 手塚治虫記念館 http://tezukaosamu.net/jp/museum/index.html
● 三鷹の森ジブリ美術館 http://www.ghibli-museum.jp/
● 青山剛昌ふるさと館 http://www.gamf.jp/
● 水木しげる記念館 http://www.sakaiminato.net/mizuki/
● ちびまる子ちゃんランド http://www.dream-plaza.co.jp/amusement/maruko/index.html
● 永井豪記念館 http://www.go-wonderland.jp/
● 石ノ森漫画館 http://www.man-bow.com/manga/?bcsi_scan_1BFA91838EB889A1=0
● 横浜アンパンマン子供ミュージアム http://www.yokohama-anpanman.jp/main.html
● 青梅赤塚不二夫会館 http://akatsuka-hall.omjk.jp/
● 長谷川町子美術館 http://www.hasegawamachiko.jp/
● 横山隆一まんが記念館 http://www.bunkaplaza.or.jp/mangakan/
(井出敬二 前在中国日本大使館広報文化センター所長)
「チャイナネット」2009年3月2日