近現代の中日関係史に対する両国の認識にはかなり大きな相違が存在している。これは、長きにわたり両国の政治家の頭を悩ませてきた問題であり、両国関係にマイナス影響を及ぼす事実でもある。この問題をどのように評価し、解決すべきなのだろうか?「中国経済情報週間」編集部はこのほど、歴史学者の王和氏にこの問題について話を伺った。(以下、インタビュー内容)
問:中日両国の近現代歴史観にはこれまで長い間、極めて大きな相違があった。抗日戦争勃発70周年を記念した「魂兮魂兮」と題する特別文章数編が、ここ数カ月にわたって、「南方周末」紙上に発表された。各掲載文章のタイトルは、「彼らの『軍刀・神社・天皇』」、「我々の『伝統・祖国・忠烈祠(訳注:戦死者など国家に貢献した人々を祀る廟)』」など、大きな注意を引くものばかりで、中日双方の立場が明らかに全く異なっている事実を浮き彫りにしている上、各自の認識が100%正しいとそれぞれ確信していることが如実に示されている。これは、歴史観の相違を示す格好の例と言えよう。中日両国の近現代史がひとつの客観的事実であることは間違いない。このように大きな歴史観の相違が存在している理由について、ご意見を伺いたい。
答: 中日両国の近現代歴史観は、極めて大きな相違があり、その相違は長期間続いてきたことは誰もが認めることだ。歴史観が史実に基づいて形成されるのは当然だが、史実に基づくだけでは、歴史観の相違という問題を克服することは不可能である。当面の問題は、中日双方の対立が、この問題に関するお互いへの非難に集中していることだが、相互非難をしていても、何の解決の糸口も見出せないというのが私の考えだ。相互非難が激化するほど、お互いの溝は深まり、溝が深まるほど、解決への道は遠く険しいものとなる。よって、これは解決が極めて難しい問題といえる。とはいえ、今後の日中両国の長期的利益を考えると、この問題は必ず解決しなければならない。さもなければ、どちらにも不利益が生じることになる。
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