中日両国の青少年交流がますます活発になる中、7月28日から8月3日にかけて中国青年代表団の農業従事者83人が訪日し、横浜市と長野県で農業の状況を視察した。
見学を終え、「日本の農業は非常に精密な作業が行われているが、中国では農地の面積が広く無理ではないか」、また日本の農業は政府からの援助が多いことから、「農業が日本政府の負担になっている」と考える団員もいた。日本の農業が中国にとって経験や教訓になるのかといった疑問を抱きつつ、今回の活動で考えたことや感想を含めて、招待側の国際農林業協働協会の高畑恒雄部長にインタビューした。
国際農林業協働協会の高畑恒雄部長
1.食事から視察、交流先を考慮
――国際農林業協働協会が中国からの農業従事者の訪日を受け入れたのはこれが初めてですか。今までに他の国の農業従事者の訪日を受け入れたことはあるのでしょうか。
中国からの農業関係の受入はこれまでも多く経験しています。しかし、それらほとんどが農業部高官や上級研究者で、青年たちを、しかもこの様な大人数で迎えるのは初めてでした。
他の国については、農民組織化研修、アセアン農業政策担当者セミナー、アジア生産性機構の研修や視察、セミナーを毎年実施してきました。実績としては、アジアではアセアン諸国のインド、ネパール、バングラデシュ、モンゴル、イラン、アフガニスタン、アフリカではケニア、タンザニア、エチオピア、マラウイ、セネガル、象牙海岸、ブルキナファッソなどです。
――訪問先を探す上でどういうことを考えましたか。
今回の中国青年関係で計画作りに腐心した点は4つあります。
1.食事:日本を理解してもらうためには、日本食を中心に出す必要があると考えました。また暑いこの季節に日本では冷たい食べ物を出すのも心遣いと考えています。中国の農村部の青年がそうした物で満足出来るのか、そして何を食べることができるのかも分かりませんでしたし、松本名物のソバも受入れてもらえるかどうか心配でした。
また日本では回教徒や菜食主義の人がほとんどいないため、こうした人の食事の手配にも気を遣いました。特に地方では、大人数が一度に温かい食事を摂れる場所が限られます。このため毎回の食事場所を決めるのは苦労しました。もう一つ、日本では唐辛子は少ししか使いませんが、中国の人の中にはとても辛い物が好きな人たちがいると聞いていましたので、唐辛子の缶を別に配りました。
2.視察・交流先:多岐にわたる青年たちの希望を満たすために、どんな所を見てもらえれば満足してもらえるのか、また年齢に見合う交流先の選定にも苦労しました。外国人80人を相手に交流できる団体を探すのは大変です。学期中であれば、農業大学での意見交換などが考えられましたが、今回は実施時期がインフルエンザの影響で延期となったため、ゼロから計画を組み直し、新しい受け入れ先を探さなければなりませんでした。
当協会の職員がJA横浜の組合員であったことから、そこでの受入が決まり、長野県松本市の奈川には青年が少ないのは分かっていましたが、緑あふれる日本の原風景を見てもらうために計画に入れました。しかし中国の若い人たちがが「こんな田舎に連れてきて」と不満に思うのではないかと心配しましたが。
ほかに通訳者の手配や受入機関の負担軽減などの面も考慮しました。
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