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第7回 道上公使インタビュー:中日関係の現在と課題
発信時間: 2009-11-11 | チャイナネット

(二)金融危機と中日の経済状況、中日のビジネス提携

 

――金融危機のもとで中国も影響を受けていますが、日本は相当なマイナスの統計が出ています。日本経済の強さは今後も続くのでしょうか。現状と見通しを教えてください。

日本も厳しい状況にあるのですが、一つ確実に言えるのは、ヨーロッパのいくつかの国は金融システムが揺らぎ国内消費が相当減ったけれど、日本はちがうという基本的な差があることです。

昨秋からこの春にかけ、日本経済の数字はマイナスが大きい印象がありますが、原因のひとつは日本の優秀なグローバル企業の対応の早さです。アメリカの景気が悪い、或いはヨーロッパで物が売れないときは生産を2割3割カットし、または工場を作る計画をしばらく凍結する。その影響が波及し、マイナスが一時的に結構大きくなるということはあるのですが、逆に回復するときも速いと思います。

日本経済の強さ、皆が真面目に少しでもよい製品を作ろうとする「ものづくり」の情熱、高い技術力、現場の第一線でのイノベーション、そういう日本人の長所はまったく変わっていません。苦しい面はありますが、それほど大きな心配をする必要はありません。最近日本の報道でも、景気が底を打った、一番悪い時期は脱した、或いは脱しつつあるということで、これから期待しています。

 

――回復するには半年、一年か、もっとかかるのでしょうか。

日本の景気は日本だけで決まる話ではなく、欧米ほか世界各国の景気との関係の中で決まるので、何カ月というのは難しいですが、できるだけ早くと願っています。

 

――日本企業向けに、中国撤退をテーマとした講座があると聞きましたが、これからの中日両国のビジネス面の提携をどう捉えていますか。

日中ビジネス提携の空間はますます広がっていくでしょう。ビジネスですから、損失を出した日本の会社もあるでしょうが、北京で見ていて、日本企業がほかの国より撤退が多いなどとは聞いたことがありません。

日中企業の協力というのは、お互いにウィン・ウィンです。日本企業にとって、中国市場はとてもよいビジネスチャンスの場となります。また、高い技術力や生産管理の方法などは、中国の企業にとってもメリットです。ビジネスベースで、中国の鉄鋼会社が、二酸化炭素排出を削減する日本の環境技術を導入した例もあります。

 

(三)環境、省エネ取り組みと協力

 

――中国は今環境問題の試練に直面しています。日本もかつて深刻な公害を経験しましたが、どうやって克服できたのでしょうか。

日本は60年代公害が深刻で、各地に公害病が発生し、死者も出ました。市民、政府、企業の三者が非常な努力をし、大気や水の汚染、騒音は80年代初めまでには相当よくなりました。比較的短期間で目に見えて改善しました。煤煙や汚染で黒かった空や海が自然の青に戻り、魚が住めるようになりました。地元の市民の、「自分の生まれ育った海、空、街をきれいな自然に戻そう」という意識が肝心だし、環境破壊の深刻さを一般国民に伝えたメデイアの役割も大きかったと思います。

 

――地球環境や省エネへの日本の取り組み、さらに日中協力の例を紹介して下さい。

地元の大気、水の問題だけでなく、地球温暖化、砂漠化、酸性雨等地球規模の環境問題や省エネについても、日本は世界を主導してきました。小学校でも教えています。「二酸化炭素排出を減らし、無駄なエネルギー消費を減らすためには毎日どうしたらいいか」を討論し、子供たちが「冷暖房は控えめに」「過剰包装をなくす」「こまめに電気を消す」と教え、法律制度だけでなく、一人一人の意識を変えていくことが重要です。二酸化炭素排出の少なさで、日本は世界トップレベルです。

将来の世代、地球の未来のため、環境保全や省エネは、中国を含めたすべての国が真剣に取り組むべき課題です。日本の経験が中国の参考になればありがたいです。

中国の各地方では、日本の支援を得て環境を改善するプロジェクトが多数実施されています。二酸化炭素排出を減らす製鉄所設備、水災害や干ばつの防止、都市の節水型社会モデル構築、農業面での環境配慮等々さまざまです。

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