民主党の新代表となった菅直人氏は4日、衆参両院本会議で行われた首相指名選挙で第94代首相に選出された。菅直人新首相はこの日、衆議院本会議で挨拶した。
菅新首相は、内政や外交など4つの難関に直面すると考えられる。菅氏の任期は今年9月までとなっているため、一つでも不適切な対応があれば「挫折」し、またしても「短命首相」となる可能性がある。
難関1 普天間基地
鳩山由紀夫前首相の辞職の発端となったのは、米軍普天間基地移設問題だ。鳩山政府は米国と沖縄県民の望みの板挟みになり、最終的には米国の圧力に屈した。
菅氏は3日夕、「首相就任後、日米合意を踏まえつつ、これからも沖縄の負担軽減という目標に向かって努力する」と語った。これは、鳩山氏の辞職を教訓とし、菅氏はこの問題を放棄せず、別のことに取りかからないことを示している。
しかし鳩山氏の辞職は米国側の問題を解決しただけで、沖縄県民の心の痛みは和らいでいない。いかに沖縄県民の理解を得て、日米合意を実施するかは、菅首相が避けることのできない難しい課題である。
日米合意では、普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移すとされている。この案は沖縄県知事の許可と名護市の同意が必要だ。
飛行場の受け入れ反対を訴えて当選した名護市の稲嶺進市長は、辺野古案を断固拒否している。今年下半期、沖縄県知事と名護市議会が改選されるが、移転反対者が当選すれば、辺野古案はさらに困難を極めるだろう。菅首相が強行的に進めれば、市民の反発が起こり、必然的に政治に響くことになる。
また、普天間飛行場の移転は日米関係の問題の縮図と言える。移転問題の深層原因は鳩山政府の外交、安全保障理念が米国の利益から「脱線」し始め、米国の報復を招いたことにある。
米『ニューヨーク・タイムズ』は日米関係専門家の話を引用し、鳩山氏の8カ月の任期期間中、オバマ米大統領は「脱米入亜」を目指す鳩山氏と距離を置き、外交の舞台では冷遇し、これは鳩山氏辞職を後押しする大きな力の一つと言えると報じた。
菅氏は3日、日米関係は日本外交の基軸だと強調したが、これまでの発言から、菅氏の「脱米入亜」理念は鳩山氏より強いことがわかる。