日本で実施されたさまざまな経済成長政策の中で、中核となるのは企業の設備投資の増加だ。企業が機器・設備投資するよう誘導するために、国は海外投資の規模を抑制することもした。「中小企業基本法」を制定し、各種の措置を通じて中小企業の設備の現代化や専門化された生産を促した。また減税、減価償却の加速といった措置を通じて、企業に設備更新のための資金を確保させ、自己資本を蓄積させた。予算のバランスを取り、政府の支出が個人投資に影響しないようにした。よって、企業の設備投資が日本の経済成長を推進した基本的な要因であり、積極的な設備投資に借りて、日本経済の産業構造は高い付加価値をもった生産分野を核心とした構造形式へと急速に転換したといえる。
経済の高度成長は高い就職率をもたらしもした。ある種の意義からいって、国民所得の向上と雇用の増加との関係がうまくいかなければ、問題が生じることになる。企業は労働力コストがもたらす打撃を避けようとして、通常はリストラなどの方法で人力資本の削減をはかる。日本がこうした問題を解決するために取った根本的な方法は、経済の発展に力を入れるということだった。経済の高度成長があれば、失業問題は解決する。これも日本が国民所得の増加を労働生産率向上の上にうち立てたことの原因だ。このためには企業に相対的に緩やかな発展環境を与えることが必要だ。日本経済の高度成長期には大量の雇用が生まれたため、失業率は一貫して1%以下にとどまった。
こうした経緯がわれわれに教えてくれるのは、国民の所得水準を上げ、所得格差を縮めようとするなら、所得分配そのものに着目するだけでなく、所得分配システムを改革する以上の力で経済を発展させ、労働生産率を向上させることが必要だということだ。特に企業の発展と労働者の給与とに同時に配慮し、全面的に考察をして、労働者のために所得の公平な分配という基本原則、規則、制度を制定して、労働者の権益の保護を強化しなければならない。特に現在のような経済モデル転換期にあって、企業をよく遇する、特に中小企業をよく遇することがぜひとも必要だ。
よって中国にとって所得分配改革を進めるには、企業に対して一般的な減税措置や金利引き下げ措置を取るほか、企業に良好で効果的な公共サービスを提供するよう政府に求めるべきだ。特に一層の規制緩和、市場の開放、行政が独占してきた業界への民間資本の参入の許可を進めて、さまざまな企業に平等な市場発展空間を与え、これにより経済の繁栄を促進しなくてはならない。同時に、各級政府の資源集中の力が極めて強いことを踏まえて、政府財政が国内総生産(GDP)に占める大きすぎる割合を今後、縮小していく必要がある。これは企業にとって利益になることで、最終的には国民にとっても利益になることだといえる。
*筆者は「学習時報」副編集査定者のトウ聿文氏
「人民網日本語版」2010年6月29日