▽債務縮小は困難
民主党と連立先の国民新党は参議院での過半数を失った。このことは、日本の政界に2007年の参議院選挙以来の「ねじれ国会」が再び出現したことを意味する。ねじれ国会の直接の結果は、民主党政府の財政・税制改革で描いた青写真が実施できなくなり、日本の債務状況や中・長期の経済情勢がさらに悪化するというものだ。
日本の2010財政年度の政府債務総額は国内総生産(GDP)の229%まで増大し、経済協力開発機構(OECD)加盟国中のトップだ。財政赤字はGDPの9.3%に相当し、この割合は深刻な債務危機に陥ったユーロ圏のギリシャをもしのいでいる。
菅総理は就任後に三段階の財政バランスのルートマップを提起し、2020年をめどに中央政府と地方政府の基礎的財政収支を黒字化するとの方針を打ち出した。この目標を達成するために、税収を増やすための措置が必然の選択となった。
日本の経済界や市場関係者が懸念するのは、民主党政権が今回の敗北を受けて、消費税引き上げの強力な推進に及び腰となり、日本の長期的財政バランスと経済成長に関わる消費税政策が棚上げにされることだ。
「日本経済新聞」は12日の社説で、民主党と自民党の二大政党が考え方の違いはひとまずおいて、菅総理の提起する財政・税制改革を引き続き推進するよう呼びかけている。現在の日本の情勢では、与野党の対立により政策が停滞するのを座視している余裕はないという。
投資家は日本の政局が動揺期に突入することを懸念する。これを受けて、東京証券取引所は12日、アジア太平洋市場とは逆に下落した。当日の終値は日経平均株価が37.21ポイント低下の9548.11ポイントとなった。東京証券取引所の東証株価指数は同3.51ポイント低下の857.70ポイントで引け、下げ幅は0.41%に達した。
外国為替市場における日本円の動きも投資家の政局に対する懸念を反映するものとなった。12日の日本円の対ユーロレートや対米ドルレートはアジア太平洋市場で低下し、対米ドルは一時1ドル=89.15円と2週間ぶりの高値をつけた。ある東京の外為ディーラーによると、日本のある主要信託銀行が大規模な円売りを行っているという。
より長期的な視点でみると、不安定な政局がもたらした円売りが今後数カ月間継続する可能性がある。三菱UFJ信託銀行の高級外為ディーラーによると、当面の政局の基では外国人投資家による円買いは期待できないという。
「人民網日本語版」2010年7月13日