これまでずっと日米同盟を重視・信頼してきた日本が近年、その外交路線において、アジアへの接近姿勢を見せ続けている。特に昨年の衆議院選で民主党が自民党を打ち破り政権交代を実現すると、鳩山内閣は従来の「脱亜入欧」思想に代わり「親米入亜」路線を打ち出した。現在の菅直人内閣も「アジア接近」の外交方針を引き継いでおり、日韓強制合併100年に際して韓国側に謝罪の談話を発表したほか、今年の「終戦記念日」に靖国神社を参拝しない方針を約束した。日本政府によるアジア接近の動きは実は実用主義外交の策略であり、日本はまだ自国を本当にアジアの国とは見ていないとの分析がある。「世界新聞報」が伝えた。
■「政経分離」の両賭け
日本の政界では長年、「対米追従」政治をめぐる論争が絶えず、世界金融危機後はこれがさらに拡大した。09年に発足した民主党の鳩山内閣は「アジア接近」の外交路線を明確に打ち出し、「対等な日米関係」の構築を目指した。だが、普天間基地移設問題をめぐる駆引きを経て、鳩山氏は米国や国内保守勢力からの二重の圧力の下、「対等外交」理念の敗北を率直に認め、最終的に引責辞任によって場を収めた。
後継の菅直人内閣は、鳩山氏の外交方針を引き継いだが、日米同盟の基軸性を改めて強調するなどいくつかの微調整も行い、その外交路線は現実主義的色彩を強めている。菅首相が8月10日に発表した日韓強制合併100年の首相談話も、一部メディアからは現実的目的に基づく「政治ショー」と指摘された。日本メディアは日韓関係の修復について、アジアに接近すると同時に、日米関係にも影響を与えない「一挙両得」の手法と分析している。沖縄米軍基地の移転と「トヨタスキャンダル」をめぐる日米間の駆引きの中で、日本はほとんど得たものがなかった。これによって日本は東アジア地域と経済的結びつきを強めて経済成長の原動力を得る必要性を感じるにいたった。だが同時に日本は、米国とグローバルな同盟を築くという幻想も放棄しようとしない。このため日本は政治的・軍事的に依然として強く米国頼みの状態であり、自ずと米国からの圧力の下で韓国との関係を自ら修復することにもなった。日本が韓国におわびしたのは、実は「両賭け」戦略による選択なのだ。
日本によるアジア接近の背後には、経済的な計算が確かにある。日本はバブル経済の崩壊とアジア新興国の経済台頭に伴い、過去十数年間にわたり「政経分離」のアジア外交を遂行してきた。つまり、政治・軍事的には日米同盟に依存し、経済的にはアジア市場を重視してきたのだ。日本経済に対するアジア経済の牽引的役割を過小評価できないことは各種経済データの示す通りだ。07年、米国の「サブプライム危機」が引き起こした世界的な金融危機によって、欧米経済が全面的に後退すると、日本はアジアに融け込むことの重要性をさらに意識するようになった。