「カフェや芝居もつくっちゃいます」六渡達郎さん

「カフェや芝居もつくっちゃいます」六渡達郎さん。

タグ: カフェ 芝居 六渡達郎 中国 日本人

発信時間: 2010-08-20 16:18:11 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


カメラマン・六渡達郎さん

四合院を改造した雰囲気のあるカフェや雑貨店などが軒を連ねる北京のお洒落ストリート「南羅鼓巷」。ここがまだ観光地化されていなかった2007年、日本人として初めてカフェをオープンさせた人がいる。

六渡達郎(ろくど・たつお)さん(44)だ。店で出される「神奇的杏仁豆腐」は六渡さんの手作りで、その美味しさには日本人のみならず外国人も舌を巻く。しかし、それほど美味しい杏仁豆腐を作る六渡さんの本職はなんとカメラマン。さらに六渡さんは演出家としての顔も持つ。2010年2月、日中合作の舞台『青木さん家の奥さん』で企画から脚本、演出までを一手に引き受けた。

写真、カフェ、芝居の演出と一見すると何のつながりもないが、実は一本の糸で連なっている。今回は多才な顔を持つ六渡達郎さんに、なぜ北京に来て、カフェを開き、芝居を演出することになったのか、そのいきさつを語ってもらった。

■カフェ・オープンへ 闘志に火を付けた一言--「“豆腐”が好きなの?」

カメラマンとして相当のキャリアをお持ちですが、どうしてまたカフェを開こうと?

南羅鼓巷の脇に日本でいうと日芸(日本大学芸術学部)に当たる大学、中央演劇学院があるんですが、日本で演劇の撮影をしていたこともあって、この学校に通っている日本人の知り合いがいたので、いまほど観光地化されてない時代に何度も(南羅鼓巷に)行っていました。ただ2005年に拠点を移したばかりでまだ仕事もないですし、学校に行くっていう感じもなかったんで、その南羅鼓巷のカフェを友達の友達から紹介してもらって内モンゴル人の店長がいるカフェに入り浸ってたんですよ。片言の日本語をしゃべってくれたりとかしているうちに、本当毎日のように通ってご飯はそこで食べて、場合によってはそこの洗い物とか洗っちゃたりして。

そこには日本人もたまに来るんですけど、北京って意外にスイーツとかってあまりないんですよね。しかも杏仁豆腐って中国のものなのに意外にない。日本だとコンビニにプリンみたいな杏仁豆腐があったり、中華食べたら締めは杏仁豆腐っていうふうになったりしているぐらいのものなのに、北京に実際来てみるとない。それでカフェでいろいろ話をして「日本人もここ来るんだし、杏仁豆腐とか出せば、人気が出て売り上げが伸びると思うんだけどね」って何気に言ったんですよ。そしたら、そこのオーナーが「豆腐が好きなの?」って聞くんで、「豆腐が好きです。」ってそのまま答えたら大爆笑になったんです。「おっかしいな。なんでなんだろう」とかって言ったら、あとで隠語(「豆腐」は女性の柔らかい肌を連想させるところから、胸や尻を指し、「豆腐が好き」は「私はスケベです」という意味がある)だったってことがわかったんです(笑)。

その時に「くそお、そんなに笑いやがって」「じゃあ本当においしい杏仁豆腐をくわしてやる」って思ったんです。そこから、いろいろ材料を探して自分で作っちゃったんですね。何度かの試作を繰り返しながら、完成にいたるんですけど、作ってみたら意外においしいものができて。南羅鼓巷のカフェって白人も集まる場所だったりしたので、「これが杏仁豆腐か」みたいな感じで結構受けたんですよ。

それから家で作って持って行って販売したり、日本人のパーティーや集まりなどに出したりしてると、どんどん人気が出てきました。雑誌とかで取り上げられたりもして、杏仁豆腐が一人歩きし始めたんです。するとある時、一緒にカフェを開きましょうっていうパートナーが現れました。杏仁豆腐を作っていく中で、そういうふうに転がってきたわけです。そうして「カフェ・イルソーレ」っていう名前で南羅鼓巷に2007年に店を出しました。

ただ1年も経たないうちに、中国人のパートナーが体壊したりとか調子が悪いとか言って、経営から外れることになったので、南羅鼓巷からいまの場所(麦子店の龍宝大厦1F)に引っ越しました。っていうのも、中国って不動産トラブルとか結構多いじゃないですか。それで胡同のローカルの大家さんと外国人が直接やり合うっていうのは結構大変だと思ったので。これに加えて、ちょうど2号店を出さないかみたいな話をビルの不動産屋さんからも話をいただいていたので、2号店ではなくってこっちに引っ越すことにしたんです。それが2007年の10月ですね。

「神奇的杏仁豆腐」

杏仁豆腐が結んだ縁というわけですね。杏仁豆腐もそうですが、どのメニューに対してもこだわりをすごく感じますね。

楽しんでいる部分があって、ほかの雑誌とかでもよくいうんですけど、杏仁豆腐作るにしても料理作るにしても写真の現像と同じなんですよ。現像って、いまはデジタルなのでもう現像するっていうことはないんですけど、フィルムがあって、現像液、停止液、定着液、で水洗いしてっていうのがあって。それは温度管理が必要だったり、薬品の分量だったり、そのタイミングだったりっていうのがすごく大事で、それをこうやっぱり温度が1度でも違うと違うものができあがったり、分量が少しでも違うと、思っている写真ができなかったりとかするんですよ。だから考えてみると、料理も化学変化と同じで、砂糖や塩の量が違えば味も違うし、かき混ぜるタイミングが狂えば、硬くなっちゃったり、滑らかさがなくなったり、丁寧にやろうと思えば、フィルター、ざるで濾したりとかって、手間を加えれば加えるだけいいものができるので。もの作りという点では同じだなと。

料理は元々よくされていたんですか?

やったというほどやってないですね。知識があるとすれば、写真をとりながら、グルメ雑誌の仕事をしたりとか、料理の写真を撮ったりするなかで、覚えていったっていうことですかね。

いまの「カフェ・イルソーレ」

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