今年夏、米軍のアジア太平洋地域での一連の軍事演習で、その軍事戦略の重点がアジア太平洋地域に置かれるようになるのだろうか、その注目点は中国に向かうのだろうかというイメージを感じさせる。
米空母ジョージ・ワシントン
米軍はアジア太平洋地域だけで「多忙」なわけではない
実際、視線を世界中の範囲に向ければ、アジア太平洋地域だけでなく、米国は世界でも「多忙」なことが分かる。
5月末、米国のパトリオットミサイルがポーランドに到着し、ポーランドとロシアのカリーニングラードの間の北部辺境に配備された。
8月に入り、米軍がイラク、アフガニスタンから軍隊を撤退する期限はまもなく切れるが、異議が出ている。この間、在アフガニスタン米軍のデービッド・ペトレアス司令官が、来年に軍隊を撤退するのは時期尚早だと語った。AFP通信の報道によると、米ABCテレビは、デービッド・ペトレアス司令官に「来年7月は計画通り撤退する適切な時期ではないと思っているのか」と聞かれたとき、回答は「もちろん」だった。
このように見れば、米軍はアジア太平洋地域だけでなく、イラク、アフガニスタンでも空前に「多忙」なわけだ。
世界的地位の衰退の形跡が現れ始めた米国
では、米軍はなぜこんなに「多忙」なのか。次の一文から答えが少し読み取れるかもしれない。
米「ニューズウィーク」誌に掲載された一文では、オバマ大統領は8月初めの政治的集会で、「米国はナンバー2にはならない」と高声に叫んだことが記されている。
オバマ大統領の叫び声は、米国の世界での地位がまさに衰退に向かっているところだというヒントを与えてくれる。この過程の中で、米国はより頻繁に軍事力を振りかぶってその国際的地位を維持しようとしている。
大国の衰退はかなり長い過程で、10年か20年、ないしは半世紀かかるかもしれないため、米国は衰退の道に向かうと言うのはまだ時期尚早かもしれない。ところが、米国が衰退に向かい、軍事力をより多く用いてその世界での地位を維持しようとする時期になると、世界は動揺した不安な時代に入るだろう、ということを様々な形跡から読み取れる。
米軍が「多忙」なのは、世界にとっておそらく良いことではないだろう。最終的な結果は米国の世界的地位の徹底的な衰退なのかどうかは分からないが、われわれも冷静にその変化を考察する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年8月20日