吴懐中/中国社会科学院日本研究所副研究員
民主党が政権を握ってから早1年、その政策も徐々に明らかになってきた。安全保障政策などを例に挙げれば、総選挙前に声を大にして掲げてきた政策は下火になり、民主党の現実主義的な一面が露見してきた。
民主党は自民党の路線を踏襲し、安全・防衛政策の基本的原則を突き破ろうとしている。以前、首相諮問委員会で発表された報告書にも「『集団自衛権』、『非核三原則』、『武器輸出禁止三原則』、『基盤的防衛力』構想の部分的な見直しが必要」という内容の記述がある。
また、民主党は日米同盟を更に深化させ、強固なものにすることを目指している。鳩山前首相の意思を引き継いだ菅首相は、日米同盟の安定した発展を重要視してきた。その具体例として、普天間基地の移設や11月のオバマ大統領訪日の際に新「日米共同宣言」を発表する事などが挙げられる。日本は両国の安全保障協力面においての関係強化を図っているのだ。
そして、もっとも注目すべきなのは、中国に対する安全政策である。上記の報告書によれば、自衛隊の全国配備を調整し、西南諸島の軍事部署と日米安全保障協力の人員を強化して中国海軍を警戒しているそうだ。それだけでなく、新「日米共同宣言」には、「中国の脅威に対する共同の認識を持ち、双方の軍事協力関係を一新し、中国の東海での『軍事脅威』に対応できるようにする」という内容が盛り込まれている。更に、日本は「日米韓三国間の安全保障協力」関係の構築にも力を入れている。共同社通信は、「菅首相が日韓併合謝罪談話を行なったのは、中国を警戒して日韓関係を上手く利用しようと目論んでいるからである」と報道している。
もし民主党が今まで述べてきたような方向へと安全保障政策を転換させていくとなると、それは日本国憲法の原則である「平和主義」を積極的に破ることに繋がり、自民党の「軍事力強化」路線を引き継ぐ危険性がある。これに関連して、対中国の戦略はより一層、人々の注目を集める事となった。当初、人々は政権の舞台に立った民主党が中国との戦略関係を進展させ、信頼と協力関係を確立してくれるだろうと期待していた。
しかしどうやら、安全保障や防衛面での懸念は依然として民主党の対中国政策を左右し、「アメリカと連携して中国に対抗する」と言う考え方は未だ健在のようだ。これは、中日関係のより良い発展にも影響を及ぼす事となる。日本にとって経済発展を続ける中国は利用しない訳にはいかない「金の卵を産む鶏」である。しかし、他方では、経済的な利用価値は高いが、安全面では用心する必要があるとの考えもある。経済では中国を利用し、安全面はアメリカに頼ろうとしているのだ。その結果、「経済面では『中日韓』の協力三角関係、安全保障面では『日米韓』の協力三角関係」を構築するというお粗末な政策を考え出したのである。このような三角関係を築くことでお互いが得すると言うのは一方的な願望である。民主党の戦略家たちは結局のところ、中日関係に対する考え方が浅はかである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月21日