国際通貨基金(IMF)は改革ペースを加速させている。海外メディアが20日伝えたところによると、IMFはIMF内での議決権につながる出資比率(出資割当率)について、中国の比率を大幅に引き上げる方針で、現在の3.9%(6位)から6%前後への引き上げを検討しているという。引き上げられれば、2位の日本とほぼ同じ割合になる。「上海証券報」が伝えた。
IMFは中国など新興国の比率を引き上げるほか、欧州諸国の比率引き下げも検討している。IMFによると、こうした変更はここ数年の新興国の経済力の高まりを受けたもので、シェアが経済の実態をよりよく反映したものとなるよう調整を行うのだという。また中国の国内総生産(GDP)が日本を追い抜いたという現実を反映させるとしている。
出資比率の引き上げにともない、中国のIMF内での発言権もさらに強まる見込みだ。IMFは今年11月までに理事会を開いて、中国などの国の具体的な出資比率について大まかな合意を取り付け、来年から新しい出資比率を適用するとしている。
IMF加盟国の出資比率は、各国のGDP、経済の生存力、外貨準備など4つの指標に基づいて割り当られる。現在の上位5カ国は上から順に、米国、日本、ドイツ、フランス、英国。出資比率によって各国の投票権の比重が決まり、上位5カ国は理事の任命権を有する。中国出身の理事は現在、一人にとどまっている。
あるアナリストによると、中国などの出資比率を引き上げることは、世界経済におけるアジアの新興国の影響力を一層高めることにつながる。世界銀行グループは今年4月、中国の出資比率をこれまでの6位から3位に引き上げると決定した。
IMFが中国などの加盟国のシェアを引き上げる一方で、欧米の溝は深まっている。最近のIMF改革をめぐり、欧米はともに譲歩する姿勢をみせていない。米国はIMFの理事会には欧州連合(EU)のメンバーが多すぎると考え、EU関係者は米国のIMFにおける否決権に異議を唱えている。ベルギーのステフェン・ファンアッケレ副首相兼外務大臣などは、公開の場所で「米国一国だけがIMFで否決権をもっているのは正常なことだろうか」と疑問の声を発している。
現在、IMFの重要政策は、187の加盟国の85%以上の投票権を獲得しなければ可決されない。米国の投票権は16.74%で、あらゆる重要政策の決定で米国は実質的に否決権をもつといえる。
「人民網日本語版」2010年9月21日