2010年上海万博日本国家館館長 江原規由
日本館ラウンジには毎日たくさんの来館者があり、ときどき記念品を持参される方がいます。いただくときにその口上を聞くとなるほどといつも感心させられてしまいます。
ミネラル・ウォーターのこころの味
ある時、手押し車でミネラル・ウォーターの入った段ボールが数箱、日本館に運び込まれてきました。それを見て、会場内に液体類を持ち込むこと自体規制されているのにいったいどうしてと不思議に思いました。
しばらくして、ある省の一行が日本館を訪問した記念として届けられたことが分かりました。その省は、自然に恵まれ、おいしい自然水の宝庫なのでしょう。それをとても誇りにしているのが伝わってきました。同時に、日本館一同は、よくぞこんなに重いものを届けてくれたものだと、大いに感激しました。
水といえば、日本館には汚水を飲み水にする日本の最先端技術・機器が展示されています。都市化などの進展で、今後こうした機器の果たす役割はますます増えてきます。機器を使えば飲み水に変えることが出来るが、美味しい水まで作れるようになればよいと、そのミネラル・ウォーターを味わいつつ感じました。
上海小学校の生徒が描いた絵
小朋友からのプレゼント
上海の小学校10校から小朋友1000人を日本館に招待したことがありました。この時、小学3年生の小朋友が、自分が描いたある絵を持参されました。その絵は、飛行機(日本館のシンボルでもある朱鷺の姿に似ている)の上に、中国と日本の小朋友と海宝(ハイバオ、上海万博のマスコット)が乗っています。中国の小朋友(男子)は中国の五星紅旗を、日本の小朋友(女子)は日の丸を、そして海宝は上海万博旗を手に振っています。地上には、中国館、世博軸、そして日本館が描かれています。この絵を見ていると、実にほほえましい気持ちにさせられます。小朋友の純粋で自然な気持ちが伝わってくるようです。万博の開催は子供たちの夢を膨らませ交流の輪を拡げていく上で大いに意義があるものだなあと、少年の描いた絵を見ていてつくづく感じました。
ある記念品
台湾館の方はあるガラス製の盾を持参されました。台湾の万博参加は、大阪万博の開かれた1970年以来とのこと。ガラス製の盾には、当時の台湾館の館長の名前が刻まれています。40年ぶりの台湾の万博参加の記念として日本館に進呈したいとのことでした。館長室にあるその盾を見ていると、四十年先の世界に思いが馳せます。
このほかにも、記念品は数えきれないほどです。大小軽重様々です。そこの込められた「こころ」と意味を感じつつ、上海万博開催の意義を見つめています。
人民中国インターネット版 2010年9月26日