授業料は取らず、あくまでボランティアで日本語を教えていらっしゃるそうですね。生徒さんはどういう経緯で藤平さんの教室を訪ねてくるのですか?
私達の住んでいるマンションの住民の方からの紹介や生徒さんのご両親の友人の子供さん、そして生徒さんの同級生とその友人等と広がっていきました。
毎年恒例となった12月生まれの誕生日会。卒業後も生徒さんと交流が続く。
これまでに数多くの生徒さんを教えてこられて、特に印象深い思い出は?
マンションの庭で「日本人ですか?」と声をかけられ、日本語を教えるようになった子がいます。当時彼女は高校生でしたが、その後大学受験の勉強が始まり、我が家へ来る時間がなくなったので、毎朝通学時にバス停まで行く道すがら日本語を教えました。懐かしい思い出です。先月、アメリカに留学している彼女から電話があり、日本人留学生と知り合って日本語で交流ができ、私たちに感謝しているとのことでした。
また、日本企業で上司の厳しさに耐えかねて、メソメソしていた女性が我が家へ日本語を勉強しに来るようになり、いろいろと励まし続けました。だんだん元気になり、自身の希望していた仕事に転職ができ、時々顔を見せにきてくれます。今では仕事への情熱が旺盛になり、私たちも本当に嬉しいです。
今は何人の生徒さんが教室に通っていますか?
現在、小学生から大学生まで9人の生徒さんが金曜日の夜、土曜日、日曜日に来ています。授業態度はそれぞれ異なりますが、小学生は遊びながら楽しく勉強し、中学生以上の生徒さんはまじめにがんばっています。
他人の面倒をよく見る琳琳(リンリン)と(06年当時小学生)。中学3年生となった今では日本語がペラペラ。
日本語だけではなく、日本語を通して教えることが他にもあるそうですが、それはどんなことですか。
生徒さんたちは学校での勉強がハードなので、励ましが重要になります。勉強は何のためにするのかを先ず教えています。そして、将来の希望や目標についても話し合います。その影響か、前向きに挑戦するようになってきた生徒さんが増えてきてとてもうれしいです。あと、親を大切にするようにといったことや、あくびをする時に手で抑えるマナーなどもできるだけ教えるようにしています。