――京都と奈良を空爆しないよう米軍に進言した中国の建築家、梁思成の銅像が奈良県に寄贈される予定ですが、奈良県の人々はどう受け止めていますか。
奈良に保存されている貴重な文化財が、米軍に空爆されていれば大きな損失を蒙ったでしょう。梁思成先生が空爆回避のために努力されたことは、とてもすばらしいことです。奈良が結果的に空襲から免れたことを、当然のように思う人が増えていますが、いろいろな人の力で守られた歴史があったということを知らなければなりません。
――開催中の上海万博は、先進的な都市の理念を発信しています。一方、平城遷都1300年祭では、奈良の歴史的な都市の建設や交流をアピールしています。両者に共通するところがあるでしょうか。
両者には何か不思議に共通するところがあると思います。上海は港としての地理的な利点もあって、国際都市としてグローバルに発展してきましたが、奈良の発展も、当時のグローバル化時代によるところが大きいと思います。
唐の時代ほどグローバルな社会はなかったと思います。しかも唐の文化が、征服ではなく平和的な交流で伝播したことはとてもすばらしいと思います。
現代は、それぞれの国の独立性や多様な文化を尊重しながら文化の伝播や人の交流をするという新しいグローバル化の時代にあります。その中で、それぞれの文化の伝統を守りながら、どのように良いところを吸収していくか――現代の政治家の知恵が必要だと思います。