現在の産業競争の環境の中で、もはや企業間の戦場はただ単に製品に止まらず、国の貨幣の安定性も企業が世界で戦うためになくてはならない要素となった。去年からドルは下落し続け、世界の原材料価格は激しく変動し、日本の電子企業にとってもコスト面で大きな重荷となった。そして更に深刻な事に、日本円も急速な上昇ルートに突入してしまい、コスト構造は急速に変化した。技術の向上を以ってしても、もはや原材料の価格上昇がもたらすコストへの圧迫を食い止める事ができなくなったのだ。これも日本企業が後ずさりする要因である。
角度を変えて見てみると、パナソニックがサンヨーを子会社化したのは、ただ単に日本の電子企業が戦略転換をした結果ではない。世界中の消費者が選んだ結果でもあるのだ。考えてみれば、固定された顧客層がいるとしたら、ブランドはそれを簡単に手放すはずはない。製品が有り余っていた時代に、世界中の消費電子産業が消費者の勝ち取り競争を行なっている。消費者が得して利益を得られる企業だけが認められ、発展していく事ができる。そうでなければ、すぐに落ちこぼれてしまう。パナソニックがサンヨーブランドを廃止することはこのような市場の規則に順応した結果だったのだ。
モンスターのような市場の中で、中国には世界でも最も活気のある消費電子市場がある。この事は、中国の家電業界にとっても無論プラスになることである。長い間、産業価値が低かった中国の家電業界にとってこれは一種の挑戦である。ドル主導の世界為替市場は大きく揺れ、原材料価格が安定しない状況が続くだろう。その状況下で、中国企業のコスト構造は新たな挑戦に挑む時なのである。以前なら安価な生産システムで世界競争における優位な位置をキープできたが、原材料の価格変動がコスト構造に与える影響はその地位を脅かしている。この事態にどのように対処するかは、家電企業の戦略能力を試す重要な課題である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月16日