根強い「エネルギー憂患」
昨年6月、日本のあるメディアのモスクワ駐在記者は取材で中央アジアを訪れた際、カザフスタン駐在の『環球時報』の記者のところへやってきた。彼は中国とカザフスタンのエネルギー協力に関する問題を10以上用意していた。彼と話をする中で、日本は中国が中央アジアと具体的な協力を進めていることを羨望しており、中国・カザフスタンのウラン資源分野での協力に強く関心を抱いていることが分かった。彼は本来、カザフスタン外務省を通じて両国のエネルギー協力にかかわる企業を取材し、具体的な協力の方法や進度を理解したいと考えていたのだが、カザフスタン外務省はその希望に応じなかったのだ。
モンゴルのある日系企業のモンゴル側代表も『環球時報』の記者と面会したが、その目的は、日本の企業が中国のエネルギー企業と協力してモンゴル・タワントルゴイ炭鉱の採掘権を手に入れることは可能であるかを検討するためであった。なぜならこの炭鉱は、中国・モンゴルの国境から100キロと離れていないからである。現在、埋蔵量64億トンのこの炭鉱の採掘権をめぐり、三菱商事、伊藤忠、双日、丸紅、住友商事などの日本の商社は団結して、中国、米国、ロシア、韓国、インドと争っている。
日本のメディアと企業がエネルギーに関する話題に並々ならぬ関心を寄せるのは、日本の根強い「エネルギー憂患」の現れといえる。
日本の中東の石油への依存度は90%以上であるが、ここ数年、イラクの核問題によって中東情勢が緊張するたびに、日本のメディアは繰り返し「首根っこを締めつけられたらどうするんだ」と問いただしている。日本経済新聞は、日本が十分な洞察力を発揮し、国土の周りで多くの選択肢を見つけなければ、「自ら死ぬことになる」とまで断言した。11月下旬、日本の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とロシアのイルクーツク石油がシベリア東部の3つの鉱区で大規模な石油・天然ガスを発見したというニュースが流れると、日本のメディアは、「東シベリアの石油によって日本の中東の石油への依存度は80%に下る」「中東の石油産出国の顔色をうかがわなくてすむ日がやってくる」と喜んで報じた。
日本は国土が狭い島国で、通常の資源・エネルギーの自給率は5%にも達しない。ロシアの経済学者マクシモフ氏の調査によると、日本は米国、中国、ロシアに次ぐ世界4番目のエネルギー需要国であると同時に資源が非常に不足している国でもあり、エネルギーの80%を輸入に頼っている。日本の経済発展を保証するため、日本政府は早い時期に完全な世界エネルギー戦略を策定した。『富士財経観察』は今年7月、「新興国の消費需要の拡大、資源国の経済・政治情勢の変化、エネルギーの国際価格の暴騰・暴落は、日本のエネルギー安全保障に対する最大の挑戦だ」と述べている。このため、周囲に網を広げ、エネルギーの供給を「一辺倒に依存」している状況から脱し、「日本を縛っている縄を解く」としている。