「西遊記」のスチール写真
魯迅氏の友である内山完造氏は著書でこのように述べている。「桃太郎が鬼が島を征服して、財宝を持ち帰るという行為は正真正銘、軍国主義に基づくものだ。」彼は、「桃太郎」と「西遊記」を比較している。「西遊記」は、三蔵法師が猿、豚、龍という三種の動物を連れ、幾多の苦難を乗り越え、天竺への旅を続けるという精神的な成長を描く話である。一方、桃太郎が猿、キジ、犬を連れて鬼が島に行くのは富を得るためである。また、三蔵法師が天竺に行くのは、経典を持ち帰るためであり、10万8千里にも及ぶ道のりは往復で14年という長い旅路だった。その旅の様子は細部にわたって書かれており、三蔵法師も歴史上実際に存在した人物である。一方「桃太郎」の物語は単純に想像上のものであり、鬼が島も現実には存在しない。これは日本人の一方的な思想教育や他の民族への統治精神をはっきり示している。
桃太郎の日本での知名度は、孫悟空の中国での知名度に匹敵する。そこから派生した文学作品、映画、マンガは山ほどある。桃太郎と名の付く居酒屋やレストラン、商品も盛り沢山だ。桃太郎が日本人にどれほど親しまれているかが伺える。これは生きるための一種の信念であり、「桃太郎精神」と呼ぶのに相応しい。
尚武の精神は強者への憧れ