消費者にもっとも近いところに商機あり
消費の変化に常に目を光らせる
――商社は資源、エネルギーで稼いでいるという印象は強いですが、中国では全くそれはないですね。
商社は資源企業というわけではありません。今後はどちらかといえば、特に中国では消費者に近い分野の仕事を拡大するつもりです。今後、大きく成長する分野といえば、おそらくそれは食材でしょう。ただ、消費者に近づこうと思っても、消費者の嗜好は国や地域によってそれぞれ違いますし、ニーズもそれぞれ違います。
中国は「小康社会」(まずまずの生活レベルの社会)を作ろうとしています。外食産業が発展してきていますし、また食の安全を一層求めるようになりました。アメリカのファストフードは中国で大変な人気を博しています。また、物流や小売業で、中国ではまだまだ大きなビジネスチャンスがあると思われます。
それだけではありません。環境、省エネ、新エネなどの分野でも、新しいニーズが中国から出ています。企業はどんな戦略を持ってそれに対応していくかを、考えなければなりません。
商社にとっては、一面では消費者に近づき、もう一面ではこの国は何を求めているかを、常に見極めなければなりません。
――その際、三菱商事は、持っている資本力、情報収集力も使って、独自に中国でのビジネスを展開していくのでしょうか。
いろいろなケースがあるでしょう。例えばエコシティ、あるいはスマートコミュニティと言われているような新しい分野では、やはり他社との協力は必要です。
自動車の場合、三菱商事は三菱自動車と輸入販売会社を設立しています。メタルワンという鉄鋼製品の商社は、本社が双日さんと一緒に作った会社です。何でも独自でやるとは限りません。また、中国でのビジネスは優良な中国パートナーと組むことも重要です。
資源依存からの脱却が課題
そのため人材交流も活発化