「北方四島」を上空視察する枝野幸男内閣官房長官
日本とロシアによる北方領土(ロシア名:南千島群島)争いが激しさを増してきている。19日、枝野幸男内閣官房長官が「北方四島」を上空視察すると、ロシア外務省は「(今回の視察は)枝野氏が以前発表した声明と矛盾する。日本政府は世論を迷わせるこうした二面性を克服すべき」との声明を発表し、日本に対し、適切な行動をとり、平和条約交渉を進めることを求めた。
なぜ、日本とロシアは100年もの間、北方領土争いを続けているのだろうか?その最大の原因は北方四島が戦略的に重要な地域に位置していることだ。
ロシア側にとって、ロシア領土の0.029%を占める南千鳥群島は国の盛衰に大きく左右していると言える。千鳥群島はオホーツク海と太平洋の境界に位置しており、北方領土を日本に返還すれば、ロシアは太平洋と接点を断たれてしまう。また、このような戦略的要地が他国のものとなれば、オホーツク海はロシアにとって「死の海」となり、世界とロシアの窓口であるロシア極東部も封殺されてしまうのだ。
北方四島の戦略的価値は日本にとっても同様に大きい。シンガポールの『聯合早報』は、北方四島は日本北部の安全を守る重要な防壁であると分析。国土が狭く、戦略的防壁が乏しい日本にとって、北方四島は日本北部に位置する「天然の防壁」として、日本本土を防御する重要な役割を担っている。また、北方領土を有することで、極東地域および北太平洋における影響力をロシアと対等にできるというメリットもある。
戦略的利益のほかに、北方領土を取り返すことで、日本は第二次世界大戦の後遺症から脱却し、政治的地位を世界の列強と対等にすることができる。これも日本が北方領土奪回に尽力する重大な原因の一つである。
両国国内の情勢および国家リーダーの政治的必要性が、ここ数カ月の領土争いと深く関わっているとの指摘もある。『聯合早報』はアナリストの分析として、「日露首脳が領土主権を主張するのは、国内情勢と深い関係がある」としている。
ロシアのプーチン首相が来年の大統領選挙に出馬する意思を示している。メドベージェフ大統領は、これまでプーチンほどの存在感を示せずにいるため、次の選挙に備え、強固な一面をアピールしているのだという。
日本も同様に、北方領土問題を利用し、国民の一体感を高め、政府の支持率を上げようとしているという。日本経済は低迷が続いており、GDP世界2位の座も中国に譲ってしまった。これといった業績を残せていない政府は、支持率を落としている。
日本とロシアによる領土問題の解決にはまだ時間がかかりそうだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年2月21日