日本の80年代生まれの若者が体験してきた重大な事件が、彼らの心に暗い影を落としている。例えば、1995年の阪神大震災や地下鉄サリン事件、20世紀末に相次いだいじめや自殺、そして、小泉政権の改革による格差社会の誕生。これらの要因は社会や人々の心理を動揺させ、まだ幼い80年代生まれの心を刺激してしまった。そして、80年代生まれの若者は、子供のころより、でしゃばらないこと、目立たないこと、空気を読んで生活することを学び、働き始めてからは一層、人の顔色を見て暮らすようになった。彼らは自分にきびしく、それが「嫌消費」現象となって現れているのだ。
80年代生まれの「倹約」は現代の背景と関連がある。給料、ボーナスが下がり続ける時代に、明るい話題は少ない。20世紀7、80年代、高度経済成長期の若者は、未来に対する理想や希望で満ちあふれていた。お金が入れば、クルマや住宅を買い、時間があれば彼女と旅行へ。冬はスキー、夏はサーフィンへと…。昔の日本人はロマンに満ちあふれていた。
日本社会全体をみると、現在、人々の購買力は確実に低下している。デパートでも割引商品ばかりが売れ、低価格路線を追求した「ユニクロ」商法が主流となっている。少し話はそれるが、中国旅行客が気前よく商品を買う姿に、日本人は驚喜している。経済界関係者は、「嫌消費」世代の広がりに対し、悲鳴を上げている。若者がクルマを買わず、消費もしないことによるマイナス効果を懸念しているのだ。自動車の生産規模が縮小されると、大規模な人員削減が実施され、就職の機会も減ってしまう。このような悪循環が形成されると、日本経済は泥沼から抜け出せなくなるのだ。