「多くの人が大地震と津波から逃れられたというのに、援助のないまま飢えと寒さで死んでいくのはなぜか」「日本を『原子力危機』に陥れた電力業界は集団で国民の前にひざまずくべきだ」――。こうした叫びは、じっと耐え忍び、秩序を保ったことで世界から称賛された日本人によるものだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は23日、「救援が最も緊急を要していた時の日本政府の対応が無力だったのを目にしたことで、市民の官僚に対する憤りはますます強まった。最大の危険は、日本の制度に対する自信を失う可能性が非常に大きいことだ」と報じた。日本は明治維新と第2次世界大戦後の2度、復興を遂げたが、その最も主要な内因は民衆の「体制への信頼」である。だが、それは損なわれてしまった。英誌エコノミストの前日本駐在記者で、日本問題専門家のビル・エモット氏は、震災後の復興は短期間に日本社会を活性化させるだろうが、日本のこうした上下団結の状況はおそらく「5年を超えることはない」と指摘する。
◆「憤り」を見せはじめた民衆
「自衛隊は見ていない、救済する人も見ていない」。中国の在新潟領事館。福島市在住の、日本人と結婚した中国人女性はこう語った。地震発生後、大多数の日本人と同じようにテレビを見続けながら、政府の救援を待ったという。だが、放射能漏洩問題が悪化。自衛隊は放射能を恐れて来ないのではないか、と夫に聞くと、日本人特有の口調で「被災した場所がこんなに多いのだから、なかなか助けに来られないだろう。安心しろ、大丈夫だ」。それでも、夫は厳しい現実を前に家族と逃げること決めた。最も緊急を要する時は徐々に過ぎ去りつつあるとはいえ、日本人はむしろ「憤り」の表情を見せはじめた。