▽日本政府への不安を募らす被災者
廃墟の上に盛んに咲く桜
被災者は、日本政府に対し多くの不満を持っている。ある高齢者は次のように語った。石巻には15000人の被災者が避難所で生活しており、その大部分が学校に寝泊りしている。だが、もうすぐ学校の授業が再開されるため、そこを離れなければならない。新しい住まいとなる仮設住宅200戸は抽選で、しかもさまざまな条件をクリアしなければ、入ることができない。基本的には身内に犠牲者が出た者や全ての財産を失った者たちが優先されてしまい、この高齢者は抽選に落ちてしまった。今後どうすればいいのか。このまま石巻で先の見えない生活をするのか、しかし石巻を離れれば、一人ぼっちになってしまう。政府からの一時金10万円も、仙台では半月の生活費で消えてしまう。これから先、不安だらけだ。
菅総理の言う震災前より素晴らしい日本の再建というのは、絵空事に過ぎない。
東京の首相官邸と国会議事堂の間の道では、一人の老婦人がプラカードを掲げてデモを行っていた。大体の意味は「菅総理 殺人犯 辞職せよ」というもの。沿道に立つ二人の警官はただ黙って立っているだけだった。
被災現地の地方政府も努力を続けているが、金銭面の問題と人手不足(公務員の3分の1が震災で亡くなった)でなかなか思うように動けないのが現状だ。また、政府与党も野党と国会制約により、自由な動きがとれず、特に日本の官僚体制のもと、公平さを重視するあまり、部分的効率が失われ、大災害を前にその受身的側面を露呈している。
だが、この日本政府の効率の悪さについては、私たちが見落としている政府側の困難もある。例えば津波によって押し流された家や建物は、全て私的所有物であり、許可なしに政府が勝手に処分してしまうわけにはいかないのだ。また、津波によって損壊した物品についても、それが使用価値のないゴミとなったかどうかは、その持ち主によって認定されなければならないため、作業はなかなか前に進まない。
被災者の一部は、すでに自ら自宅の片づけを行い、戻ってきて生活しようとしている。自衛隊はまず道路の片付け作業を行うしかない。政府の効率の悪さにはそれなりの理由があるが、被災者には文句を言われてばかりだ。例えば菅総理が「がんばれ」と言うと、被災者からは「がんばれしか言えないのか。」と不満をあらわにした。
▽専門の民間救助隊